「適正価格がわからなかった」が最多の後悔
また、葬儀を経験した人のうち6割超(64.4%)が葬儀について「事前に知っていればよかった」と後悔しているという結果に。中でも最も多かったのが、「適正価格がわからなかった」(45.7%)という回答でした。
「母も叔母の言葉を気にして、あとでネットで“葬儀 費用 相場”と検索していました。でも、家族葬・直葬・一日葬などいろいろあって、余計にわからなくなったみたいです」
鎌倉新書が運営する日本最大級の葬儀相談依頼サイト「いい葬儀」が2024年に行った「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」によると、葬儀費用の全国平均は118.5万と、千賀子さんの祖母の葬儀でかかった費用も平均的といえます。
「でも、そのときの私たちはそんな相場も知らなかった。ただ“ちゃんと見送れた”という思いだけで、十分だったんです」
「担当の方が、母のペースに合わせて説明してくれたんです。祖母の思い出話も丁寧に聞いてくれて、喪主の挨拶にもうまく入れてくれました。あの人がいなかったら、もっと混乱していたと思います。母も『ちゃんと話を聞いてくれる人だった』と感謝していました。だから、叔母にどう言われようと、後悔はしていません」
「知らないこと」が不安と後悔を生む
千賀子さんは今回の経験を通じて、改めて“知識のなさ”が不安を呼ぶことを痛感したといいます。
「亡くなるまでの間に、もう少し準備しておけばよかったと思います。祖母が施設に入る前に、母や私が葬儀のことを少しでも話し合っていたら、叔母ともこんなに揉めなかったかもしれません」
事前に備えることは「縁起でもない」と避けられがちだが、家族にとっては安心材料にもなります。
「祖母の件をきっかけに、両親の今後についても話し合うようになりました。まだ元気なうちに、どんな葬儀を望むのか、費用をどうするのかを共有しておくのも大事だなと感じます。両親も今回のことで懲りたのか、話し合いにも積極的で良かったです」
千賀子さんにとって、祖母の葬儀は悲しみと同時に、家族の“これから”を考えるきっかけにもなりました。
[参考資料]
燦ホールディングス「第6回 ライフエンディングに関する意識調査」
鎌倉新書「お葬式に関する全国調査(2024年)」
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
