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なぜ家を建てるのか(Why?)
5W2Hのなかでもこの問いは、家づくりにおいて最も大切な出発点です。
「賃貸だと家賃がもったいない」「今の家が狭い・寒い」などの理由は家を建てる“きっかけ”にはなりますが、それが本当の理由かというと少し違っていることがあります。
賃貸住宅に住んでいると、何年家賃を払っても資産にはなりません。住宅ローンを組んで家を購入し、完済すれば自分の持ち家になるし、将来的に売却もできます。だから「家賃がもったいない」というのは、経済合理性の話にすぎません。賃貸だと家賃がもったいないから家を建てるのではなく、本当の理由は「家族で楽しく暮らしたい」からではないかと筆者は思っています。
今の家が狭い、部屋が寒いという理由の奥には、「快適に、安心して、笑顔で暮らしたい」という願いがあると思います。それこそが「なぜ」の本質だと思うのです。
相談に来る客に、筆者はよく「家族で楽しく暮らすって、どういうことだと思いますか」と問いかけます。すると、家族全員で鍋や手巻き寿司を作って食べたり、お嬢さんのピアノ発表会や運動会の映像を皆で観賞したり、休日は思い思いの場所でくつろいだりとさまざまな“家族の楽しい時間”が出てきます。そういったことを家族で話し合い、全部書き出してみると意外なことが分かったりします。
「お父さんは静かに本を読む場所が欲しいんだ」「お母さんは女優鏡つきの洗面台に憧れていたんだ」といった感じで、普段気づかなかった“お楽しみの本音”が見えてきて、家づくり計画ががぜん盛り上がったりします。
このように、家を建てようかな、建てたいと思ったときには、「なぜ?」を自分に問いかけてみるといいかもしれません。なぜを突き詰めていくと、家を建てたいと願う本当の動機が「楽しく暮らしたいから」に行きつくと思います。
また、家を建てる目的を「不満」と「不安」で整理してみるのも有効です。
「不安」――老後に家賃が払えるか、ローンが払えるか、資産価値が下がらないか。
こんなふうに分けてみると、「不満」は賃貸のままでも解消できることが多かったりします。しかし、「不安」は、家を購入するなり建てるなりしないと解消できないケースも多々あります。
「不満」が「不安」に直結するようなこともあり、例えば「最寄り駅が遠くて通学・通勤が大変」という不満は、「今は我慢できても、年をとったら通院が困難になるかも」という不安になり、さらには「これだけ最寄り駅から離れていると、将来的に資産価値が下がるかも」になる可能性もあります。
だから、思い当たる限りの「不満」と「不安」を書き出して、その「不満」が「不安」に置き換わる可能性があるのであれば、不安を一つずつ潰す方法を考える必要があります。残りのローンが心配ならライフプランシミュレーションを再考し、資産価値が心配なら、立地や建物の価値をリサーチしてみるなどもいいかもしれません。
それでも不安が拭えなければ、「家を建てない」という選択もありです。不安を解消するのも大事ですが、無理をして家を建てたところで、家族で楽しく暮らせなければ意味がないからです。

