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住宅ローン選びは「借りるべき金額」を知ることから
住宅ローンを組む際に気になるのは「いくら借りられるか」だと思います。借入額は年収の7~8倍(金融機関との交渉次第では9~10倍)くらいまでが一般的ですが、これは「借入可能な金額」であって「借りるべき金額」ではありません。そこを履き違えないでもらいたいと思います。
「いくら借りられるか」だけで不動産購入を決め、借入金を全額投入してしまうと、その他の諸費用で思わぬ出費がかさみ、生活を圧迫するリスクが高まります。特に子育て世帯などは、将来の教育費や生活スタイルの変化も見越したライフプランを練ったほうがいいと思います。
筆者の会社に相談にくる人からは「いくらの物件を買ったらいいのか」という相談をよく受けます。住宅ローンを組む際は、まず「事前審査」で融資可能額をチェックし、その後「本審査」に進むのが一般的です。土地と建物を別々に契約する場合でも、総額の概算を出しておかないと審査が通りません。建物にかけるコストがどのくらいになるか未定でも、土地を購入する時点である程度の予算を立てておく必要があります。
このときに重要なのが、「審査はMAXで通しておいて、実際に借りる金額は下げる」という考え方です。審査を通す=その金額を必ず借りる、ではありません。先に余裕を見た審査をしておいて、実行時に調整するほうが安心です。
また、住宅ローンの本審査時には建築会社の見積書が必要になります。どの不動産を購入するかがまだ決まっていなくても、建築会社のあたりはつけておいたほうがいいです。建築会社も審査の対象になるので、あとから変更する場合は再審査をすることになります。
住宅ローンをうまく活用した事例はいくらでもあります。例えばあるご夫婦です。世帯年収は約1600万円で、奥様のほうが高収入でした。賃貸暮らしをしていましたが実家近くに土地を購入し、注文住宅を建てることにしました。土地の購入費用が5800万円、建物が3300万円、このほかに外構や諸費用を含めて1億円以内に収まる見込みでした。
借入は可能で、月々の返済も現在の家賃と比較して払えない額ではなかったのですが、返済をずっと続けられるかどうか、将来的な不安があったとのことでした。そこで、もし10年後に家を売却することになった場合、住宅ローンの残債を上回る金額で売れるかどうかをシミュレーションしたといいます。
金利1%で1億円借りた場合、10年後のローン残債は約7570万円になります。10年後の土地価格を購入時と同じ5800万円、建物は資産価値が少し下がり2500万円と仮定した場合、売却価格が8300万円以上であればローンは完済できます。このように、ご夫婦は売却も視野に入れ、資産性を重視した家づくりをしました。「売りやすさ」も考慮し、断熱性能に定評のあるハウスメーカーを選んでもいます。将来的な不安も解消し、「冬なのに薄い布団で快適に眠れる」と新しい家の生活にも満足しているとのことです。
このご夫婦の場合は借入金が1億円近くになることもあり、継続した返済ができるかどうかという不安から売却も見越した家づくりになりましたが、住宅ローンを活用する際は、不動産価格や建築コストだけでなく、「未来の暮らし」まで含めた設計が必要です。予算、土地、家、それぞれを切り離すのではなく、ライフプランと組み合わせて考えるといいように思います。
