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独居高齢者、迫る「孤独死リスク」
総務省の「家計調査(2024年)」によると、単身高齢者世帯のうち65歳以上の約40%が独居しています。和子さんのように、一人暮らしをしている高齢者は全国に数多く存在しているのです。東京都監察医務院のデータによれば、都内で孤独死とみられる65歳以上の死者数は年間4,000人超(令和4年)にのぼります。
今回は母からの電話がきっかけで田中さんが数時間後には駆けつけていたため、「高齢者の孤独死」というリスクの点では不幸中の幸いだったかもしれません。しかし、発見までに数日〜数週間を要するケースもあり、「死後1週間以上放置」されたケースも全体の約3割にのぼるとされています。
元気そうに生活していてもこういったリスクは常に付きまとうものです。
備えは可能か?見守りサービスと経済的な壁
一人暮らしの高齢者の不安に対応するサービスとして、月々数千円で導入できる警備会社の見守りサービスや、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への入居、緊急時対応付きのシニアマンションなどがあります。これらを活用すれば、急な体調変化にも対応可能です。
しかし、介護サービスや見守りサービスの費用に掛かる経済的な不安から、実際には活用されない場合も多いのが現実です。
誰でも高齢になれば衰えは必ずやってきます。そして、今回のように一人で死を迎えることも決して珍しいことではありません。こうした問題は、経済的な課題をクリアできれば、見守りサービスやサ高住への入居で解決できることも多いものです。
そのために、自分がどう生き、どんな最期を迎えたいか。逆にどんな生活、どんな最期が嫌かを考え、将来的な医療・介護費用を含めた必要な支出に対して、年金収入がどの程度不足するのか、資産をどの程度残しておくべきか、計画を立てておくことが重要になります。
田中さんの事例のように、「あのとき気づいていれば……」という後悔を生まないためにも、離れて暮らす親への“備え”を先送りにしないこと。そして、自分自身の生き方と最期を思い描き、「経済的な準備」と「見守り環境の整備」を、元気なうちから進めていくことが大切といえるでしょう。
小川 洋平
FP相談ねっと
ファイナンシャルプランナー
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