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「定年後の夢」を持ったきっかけ
Aさんは、高卒で入社してから定年退職まで、ずっと同じ会社で勤め上げた真面目な男性です。65歳からの年金は約200万円、妻の分を合わせると約280万円となり、厚生労働省が示す標準的な年金額(2025年度で約279万円※)を上回ります。
60歳の定年時には、退職金として2,000万円を受け取り、高卒で就職したAさんにとってはびっくりするような金額だったため、妻と大喜びしました。コツコツ貯めた貯蓄に加え、定年と同時期に発生した親からの相続もあり、老後資金は豊富に。退職金2,000万円と貯蓄1,000万円、相続財産3,000万円によって、金融資産は合計6,000万円です。富裕層とまでは言い難いですが、贅沢をしなければ、老後資金としては十分すぎる生活が見通せました。
Aさんの趣味は、大好きなラーメンの食べ歩きでした。しかし、それが「夢」に変わったのは、数年前に遡ります。
独立した息子夫婦が、5歳になる孫を連れて遊びに来た、ある日曜日の昼下がりのこと。妻が友人と出かけており、「昼食をどうしようか」という話になりました。Aさんは「じゃあ、おじいちゃんが腕によりをかけて、特製ラーメンでも作ってやるか」と、遊び心半分でキッチンに立ちました。
YouTubeで作り方をみながら鶏ガラと香味野菜からスープを取り、こだわりのチャーシューを乗せた一杯。
「おじいちゃんが作ったラーメン、お店のより美味しい!」
小さな孫が目を輝かせ、夢中でスープを飲み干してくれたのです。会社での肩書も役職も失い、「自分はもう社会の役には立てないのではないか」と漠然とした寂しさを感じはじめていたAさんにとって、その無邪気な一言は、何物にも代えがたい喜びでした。
「自分にも、まだ人をこんなに喜ばせる力があるのか」
その日を境に、Aさんの「こだわり」に火がつきました。週末ごとに違う出汁を試し、麺の種類を研究し、孫が来るたびに新作を振る舞うのが生きがいに。そして、定年が近づくにつれ、「第二の人生は、このラーメンで人を笑顔にしたい」という想いが、明確な「開業の夢」へと変わっていったのです。
妻に定年後の夢を伝えたところ、「老後のために退職金は使わず残しておいてください」妻との約束のもと、許してくれました。半年かけて事業計画を練り、何度も金融機関との面談を重ねました。相続財産のなかから初期費用1,500万円を投じ、店舗物件の契約や内装工事を敢行。開店までのあいだに料理教室の講師をしている友人に頼み込み、料理の基本を学びます。
万全の準備のもと、Aさんは「シニア起業を失敗させるものか」と、オーナー兼料理人として自信を持って第二の人生を踏み出します。
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