一部で浮上した「日銀サプライズ利上げ」…その根拠とは
「日銀サプライズ利上げ」観測が浮上=新総理施政方針演説がきっかけ
そのうえで、高市新総理が所信表明演説で日銀への言及がなかったことが、一部で10月の「日銀サプライズ利上げ」の思惑を浮上させているようです。推理小説などで使われる手法に、「本来あるべきものがないことは何らかの示唆である」というものがあります。
こういったことから、高市総理が施政方針演説で日銀に言及しなかったのは、「早期利上げOK」シグナルの可能性もあるとの見方が一部で浮上しました。
今のところ株高も続いているので、確かに早期利上げを行うチャンスといえなくもないでしょう(図表3参照)。それにしても、本当に「日銀サプライズ利上げ」となれば、米ドル高・円安は急反転する可能性もあるのではないでしょうか。
今週の注目点=日米首脳会談、金融政策発表など重要イベント目白押し
日米首脳会談でトランプ大統領の円安批判はあるのか!?
今週は、前半にトランプ大統領が来日、高市総理との初の日米首脳会談が予定されています。また29、30日に日米欧の金融政策発表も予定されているなど、注目イベントが相次ぐことになります。
まずは日米首脳会談について。高市新総理とトランプ大統領は保守派同士で、外交や安全保障などの政策では親和性が高い関係との見方が一般的です。その一方で、経済政策においては、トランプ大統領は貿易相手国の通貨安に過敏に反応するのに対し、高市総理がいわゆる「アベノミクス」継承として円安に寛容と見られることから、高市政権発足後150円を超えた水準での米ドル高・円安が続いているなかでは、対立するリスクがあるのではないでしょうか。
過去の日米外交の歴史のなかで、初の首脳会談で為替がメイン・イシューになったのは1993年の宮沢・クリントン会談でした。会談終了後の記者会見で、クリントン大統領は、「日米間の貿易不均衡の是正に最も有効なのは円高」と発言、円高への為替調整への期待をストレートに表現しました。
これは、当時のクリントン政権が、大統領選挙中のクリントン氏の「It's the economy, stupid!!(問題は経済だろう、わからないのか!!)」という台詞が示したように、ポスト冷戦で米経済の復活を目指すという大義名分がありました。
それに比べると、今回の場合は基本的にはトランプ大統領個人の強い思い入れといった違いはありそうですが、それは為替に限ったことではないでしょう。その意味では、初の日米首脳会談で、円安批判が飛び出す可能性はなくはないのではないでしょうか。

