今回は、 借入の全額返済によって、メイン銀行が「慌てて取った行動」について見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

メイン銀行の営業本部長が飛んできて、平謝り

前回、メイン銀行がその立場を失った事例を紹介しました。メイン銀行という思い上がりをたてに、融資シェアを100%にすることを狙ったものの、逆に全て失い、0%になってしまった、という事例でした。まさに、「倍返しだ!」を、されてしまったのです。

 

その直後です・・・・。その元メイン銀行が、死にものぐるいの戦いに出てきたのです。

 

当然、この一件は、すぐに元メイン銀行の上層部に届いたようで・・・、

 

「本部からすぐに連絡が入り、翌日に営業本部長が飛んできましたよ!」

 

とのことでした。

 

「とにかく、もう一度、くわしく話を聞かせてくれませんか!」

 

経営者は、事のいきさつを話しました。それを聞いた営業本部長は、

 

「誠に申し訳ございません! こちらがお客様の立場で考えず、メイン銀行として、タカをくくっていた、当然の結果です!」

「そうですよね、ウチが何も悪いわけではないですよね?」

「めっそうもございません! 100%、我々の責任です!」

「私も〇〇支店長にウラミがあるわけではないので、 別に処分などしていただかなくて結構ですよ」

「いやいやいやいや、そういうわけにもいかないんですよ!」

「だって、御行からすれば、〇億なんて、返済されても、どうってことない金額でしょ?」

「いやいやいや、ウチにとってはもう、大きな金額です!」

 

という、やりとりになったそうです。

「借りなくてもいいから、融資枠を残してください」!?

しかし・・・、今回の件は、100%、私どもが悪うございました、と、認めたものの、簡単には引き下がりません。営業本部長が出てくるには、それなりのワケがあります。

 

「せめて、私どもの融資枠だけでも、残していただけませんでしょうか?」

「えっ????? どういうことですか?」

「いやもう、借りなくてもいいので、当座貸越枠だけでも、残していただけませんでしょうか?」

「そんなこと言われても、借りる必要ありませんよ?」

「いやいやいや、金利はかなり低くさせていただきますし、借りなくても結構ですから!」

 

と、生き残りをかけて、元メイン銀行も、必死のパッチです。しかしこの

 

「借りなくてもいいから、枠だけでも残してください!」

 

という裏には、銀行の、懲りない下心があったのです。
(次回につづく・・・)

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

古山 喜章,井上 和弘

東峰書房

数字が苦手な人にこそ読んで欲しい! 本書では、会社経営にまつわる数字を読み解き財務力をアップさせる方法を解説します。数字が苦手だからこそとことんわかりやすく理解する方法を見出した筆者。そのノウハウをお伝えし、経…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録