前回は、毛髪についての基礎知識を確認しました。今回も続きとして、毛髪の周期などについて見ていきます。

1日100本程度の抜け毛は自然な現象

ところで、私たち人間の頭髪の本数はおよそ10万本から、多い人で15万本といわれます。この頭髪は伸び続けるわけではなく、動物と同じで、生えて成長しては抜け落ち、生え替わることを繰り返しています。この周期を「毛周期(ヘアサイクル)」と呼びます。

 

[図表1]毛周期

毛周期は、毛の生え始めから成長が止まるまでの時期である「成長期」(一般的に5~7年)、成長期から休止期に移行する過程の「退行期」(1~2週間)、毛根が退化してから脱毛するまでの「休止期」(3~4カ月)というサイクルです。このサイクルは男性と女性とで若干の違いがあります。

 

休止期に入ると、毛包の長さは成長期に比べて半分から3分の1ほどになり、見えている毛(毛幹)は皮膚の表面近くまで押し上げられたあと、脱毛することになります。しかし、毛が退行して抜け落ちても、またそこから髪の成長を支える毛包が育ち、同じ毛根から毛が生えて成長していくのです。

 

頭髪の中で、成長期にある毛は約85%、退行期にある毛は約1%。休止期にある毛は10〜15%弱とされます。

 

休止期に入って自然に抜ける毛は1日に平均50~100本。これくらいの本数の髪が抜けるのは自然の現象であり、何ら心配することはありません。これ以上の抜け毛がある場合は脱毛症が考えられますが、そうでない限りは、毛周期によって、抜けてもまた発毛することが繰り返されていくのです。

 

ちなみに、成長期にある頭髪が伸びる速度は1日に約0.3~4mm。この速度は場所によって異なり、側頭部よりも頭頂部のほうが速いことがわかっています。

「うぶ毛」「軟毛」「硬毛」の3つに大別される毛髪

ところで、人の毛髪には、うぶ毛、軟毛、硬毛の3種類があります。うぶ毛は色素がなく、数ミリまでしか伸びない毛です。

 

軟毛は色素が薄いうえ細くて短く、硬毛は色素が濃く、硬くて太い伸びる毛です。硬毛はさらに、頭髪やひげなどの長毛と、眉毛やまつ毛、鼻毛などの短毛とに分かれます。

 

軟毛と硬毛は別々のものではなく、さまざまな因子によって変化するものです。人が成長し、思春期を迎えると、アンドロゲンというホルモンの影響により、軟毛から硬毛へ変化します。また成人男性の場合、男性型脱毛症(AGA)によって、頭部の硬毛が軟毛へ変わり、これが薄毛へとつながります。

本連載は、2016年9月9日刊行の書籍『薄毛 「自毛主義」のすすめ』(幻冬舎メディアコンサルティング)の本文から一部を抜粋したものです。

薄毛革命 「自毛主義」のすすめ

薄毛革命 「自毛主義」のすすめ

音田 正光

幻冬舎メディアコンサルティング

髪が抜けて少なくなる、頭頂部が薄くなる――これは男性にとって古今東西、永遠のテーマといえる苦しみであり、さらに昨今は女性にも薄毛の悩みを抱える人が増えています。 本書では、さまざまな治療法を試しては失望してきた…

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