前回は、「カツラ」着用の課題をコスト面を中心に見てみました。今回は、毛髪についての基礎知識を確認しておきます。

「毛髪が生えて伸びる」メカニズム

ここからは、気になる「発毛」と「薄毛」のメカニズムに迫っていきましょう。それを理解するためには、まず頭髪について知ることが必要です。

 

そもそも、毛髪はどのようなメカニズムで生えてくるのでしょうか。

 

私たちが「毛髪」と呼んでいるものは、皮膚の外に出ている「毛幹」という部分です。皮膚の下に隠れている毛髪は「毛根」と呼びます。この「毛根」という言葉はよく耳にすることがあるでしょう。

 

この毛根は、髪の成長を支える器官「毛包」によって、さやのように包まれています。その周りには網の目状の毛細血管が張りめぐらされており、これが毛髪の成長に必要な栄養分や酸素などを届けています。

 

一方、毛根の根元には、カニのはさみのような形をした球状の「毛球」があります(図表1)。そのくぼんだ部分にあるのが「毛乳頭」。その周りにはたくさんの「毛母細胞」が存在しています。この「毛母細胞」という言葉も、育毛に興味のある方なら、なじみがあるかもしれません。

 

[図表1]毛髪の組織構造

毛母細胞は毛細血管から栄養分や酸素を吸収し、それをエネルギーにして分裂を繰り返していきます。そして成長し、上へ押し上げられるうちに角化し、硬い毛髪へと変わっていきます。これが「毛髪が生えて伸びる」仕組みです。

 

つまり、毛髪を生み出し、成長させるために最も大切な組織は「毛乳頭」と「毛母細胞」であるといえます。

「キューティクル」と呼ばれる毛髪の一番外側の「毛小皮」

このようにして生まれた毛髪(毛幹)の構造を見てみましょう。

 

毛髪を輪切りにすると、3つの層に分かれています(図表2)。一番内側にあるのは、蜂の巣のようにスカスカな「毛髄質」。スカスカなのは、空気を通して頭を熱から守るためともいわれますが、その機能については詳しいことはわかっていません。

 

[図表2]毛幹の構造

毛髄質の外側にあるのは「毛皮質」。細い繊維状のたんぱく質が集まったもので、これが毛幹の大部分を占めています。

 

さらにその外側、つまり毛幹の表面を覆っているのが「毛小皮」です。これはシャンプーのCMなどでもおなじみの「キューティクル」のことです。顕微鏡で拡大されたキューティクルの、魚のウロコのように細かく重なり合った様子を見たことがある方も多いでしょう。

 

このような構造をした毛髪を構成しているのはケラチンというたんぱく質。この名前もトリートメント剤のCMなどで有名になりました。

本連載は、2016年9月9日刊行の書籍『薄毛 「自毛主義」のすすめ』(幻冬舎メディアコンサルティング)の本文から一部を抜粋したものです。

薄毛革命 「自毛主義」のすすめ

薄毛革命 「自毛主義」のすすめ

音田 正光

幻冬舎メディアコンサルティング

髪が抜けて少なくなる、頭頂部が薄くなる――これは男性にとって古今東西、永遠のテーマといえる苦しみであり、さらに昨今は女性にも薄毛の悩みを抱える人が増えています。 本書では、さまざまな治療法を試しては失望してきた…

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