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いよいよ開店するも、「なにかが足りない」という違和感
Aさんが65歳のとき、念願のラーメン店が開店します。当初は、友人がお祝いに駆けつけ、賑わいました。店の前の通りを通行する人が、賑わうお店をみて来店。目の回るような忙しさが続き、嬉しい悲鳴をあげます。
約1年、1人きりで店の切り盛りを頑張りましたが、年齢的にも身体に鞭を打つには限界があり、従業員の募集に踏み切ります。家系ラーメン店経験者という男性Bさんを採用しました。
Aさんの作るラーメンはこだわり抜いた「あご出汁のあっさり味」。かつてはこってり派だったAさんですが、歳を重ね、あっさり味のよさに目覚めた末の自信作でした。しかし、新たに従業員として雇ったBさんは、Aさんのスープに納得がいかない様子。
「所詮、定年後の道楽じゃないですか」
従業員からの一言に、Aさんはカチンときました。しかし、自分の味に自信を持ちつつも、若い世代にも納得してほしいと試行錯誤を始めます。そしてある日、Aさんは「究極のあご出汁」を求め、修行に出ることを決意します。
「修行」から戻った店主が目にした、絶望の光景
「2週間、修行に出てくる」
Bさんにそうメモを残し、Aさんはあご出汁の発祥地といわれる九州へと旅立ちました。長崎県や鹿児島県を中心に、あごだしの名産地を回ります。最高の焼きあごを仕入れて意気揚々と店に戻ると、Aさんは目を疑います。
店のシャッターは閉まったまま。慌てて中に入ると、店内は大きく雰囲気が変わっていました。胃がもたれるような匂い、厨房の鍋は汚れ、流しには食器が山積みになったまま荒らされています。
「泥棒か!?」
しかし、店内に掲げられたメニューが「あご出汁」から「家系ラーメン」に書き換えられているのをみつけ、事態を察しました。
近所の知人に話を聞くと、Aさんが旅立ったあと、Bさんは「店主が仕事を押し付けて、修行と称して旅行に出かけた」と周囲に不満を漏らしていたといいます。「定年退職後の片手間にラーメン店を始めて、オーナーとしての自覚もない。挙句、旅行に行きたくなったら、修行と称した『ボンボンおじいさんの道楽旅行』ですよ。やってられないです」という話には、ショックを受けました。
Aさんがいないのをこれ幸いと、Bさんは家系ラーメンの店に変え、好き勝手に営業。あろうことか、「オーナーは旅行中だ」「いないあいだは好きにしていいといわれた」と、Aさんがいってもいないことまで客に吹聴していたのです。
材料費は無駄に仕入れられ、店内は荒れ放題。そしてテーブルの上には「退職」と書かれた紙切れが一枚。売上金は、給料代わりか、すべて持ち逃げされていました。
呆然と立ち尽くすAさん。自負を持って始めた店が、従業員からは「道楽」としか思われていなかった――。その事実が、なによりもAさんの心を打ちのめしました。
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