(※写真はイメージです/PIXTA)

「郊外に一戸建てを建てれば、同じ金額で広くて快適な暮らしができる」——そう考えて、タワーマンションを諦める共働き世帯は少なくありません。家族の時間、子どもの環境、将来の資産性。どれを優先するかは家庭によって異なります。しかし、実際に郊外の戸建てを選んだ後、「思っていた理想と違った」と語る人も。

住宅ローン減税の恩恵にも“期限”がある

もうひとつ見落としがちなのが住宅ローン減税(住宅ローン控除)です。堀口さん夫婦は2022年に入居。2022年度以降は減税率が「年末ローン残高の0.7%」に縮小され、控除期間13年の上限も設定されています。

 

「当初は0.7%でも十分と思っていたけど、税額控除は年ごとに減っていく。13年後には、住宅ローンの支払いだけが残るわけです」

 

また、郊外の住宅は資産価値の下落が早い傾向も。都心部の地価上昇が顕著なため、郊外住宅地では利便性の低さや人口減少の影響で価格が横ばいまたは緩やかに下落する可能性もあります。

 

「買ったときは“資産になる”と思っていたけど、今は“負債にもなり得る”と感じています」

 

とはいえ、後悔ばかりではありません。息子は近くの公園で友達と遊び、自然に囲まれた環境でのびのびと育っています。

 

「夜は静かだし、星も見える。東京では味わえなかった穏やかさがあります」

 

ただし、翔太さんは現実的な決意を口にします。

 

「もし定年後もここに住むなら、リフォームや介護のことも考えなきゃ。今後は“この家をどう維持するか”を計画的に考えていきたいです」

 

マイホーム購入はゴールではなく、「維持と変化をどう受け止めるか」の始まりです。タワマンを諦め、庭付きの家を選んだ堀口さん夫妻。2年後に見えたのは、「どこに住むか」ではなく、「どう暮らすか」の難しさでした。

 

郊外の家は、確かに広くて静かです。しかし、交通費・維持費・資産価値・生活リズム——その“トータルコスト”を把握しなければ、思わぬ形で「想定外の現実」が訪れるかもしれません。

 

「どんな家を買うかより、どんな生活をつくりたいか」

 

その問いに答えることが、理想の住まいへの最初の一歩なのです。

 

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