「まだ自分でできる」と言い張る父だが…
都内在住の佐野和哉さん(仮名・48歳)は、3年前に母を亡くし、現在は父・清さん(81歳)の一人暮らしを心配しています。
「洗濯物が干されずに放置されていたり、冷蔵庫のなかが腐った食品だらけになっていたり。明らかに“生活の回らなさ”を感じるんです。でも本人は『大丈夫、大丈夫』と繰り返すばかりで」
特に気がかりなのが、転倒のリスクです。脚力が衰え、家の中でつまずくことも増えました。通院の付き添いも必要になり、和哉さんは仕事を早退することが増えてきたといいます。
「このままでは共倒れになると思って、市の地域包括支援センターに相談し、要介護認定の申請を行いました。ところが、結果は“要支援1”」
介護保険制度では、認定は「非該当(自立)」「要支援1・2」「要介護1〜5」の7段階に分類されます。
「要支援」では利用できるサービスが限定されており、訪問介護なども最低限。特養(特別養護老人ホーム)への入所資格も原則「要介護3以上」とされているため、「施設入居での安心」も難しいのが現状です。
「正直、“要支援1”では何も変わらないんです。うちの場合は、週1回30分の見守り訪問があるだけで、生活そのものは息子の私が支えるしかない。今後もっと悪化すると思うと、すでに不安でいっぱいです」
要介護度が思ったよりも低く出る背景には、いくつかの構造的な理由があります。
第一に、「本人が元気に振る舞う」こと。訪問調査の際、見栄やプライドから“できるふり”をしてしまい、正しい実態が伝わらないケースが多くあります。
第二に、「主治医意見書」の内容。認定調査と並行して、医師による心身の状態評価が行われますが、ここでも「元気に通院している」と記載されると、重度認定がつきにくくなります。
第三に、地方自治体の認定審査会の判断です。財源制約などを背景に、軽度寄りの判定が出やすいのではないかと指摘する声もあります。
