個人資産と事業を支える「プライベートバンカー」…富裕層の資産管理を担う人材は、どのように養成されるのか【公認会計士が解説】

個人資産と事業を支える「プライベートバンカー」…富裕層の資産管理を担う人材は、どのように養成されるのか【公認会計士が解説】
(画像はイメージです/PIXTA)

高齢化と長寿化が進む日本では、オーナー経営者の資産管理や事業承継のニーズが急増しています。こうした背景を受け、プライベートバンカーには、ファミリーとビジネスの両面から顧客の課題を解決できる高度な専門性が求められています。日本証券アナリスト協会の「プライベートバンキング教育プログラム」は、そのための知識とスキルを体系化し、資格試験と継続教育を通じてプロフェッショナルを育成しています。本記事では、その教育内容や資格制度の全貌を公認会計士の岸田康雄氏が解説します。

プライベートバンカーをどう教育するか

プライベートバンキング教育プログラムには、次の4つの特色があります。

★顧客本位の全体最適アプローチ

資産・事業・家族すべてを俯瞰し、最適な解決策を提示します。

★実務重視のケーススタディ

総合提案書の作成を通じ、現場で使える実践力を養成します。

★継続教育プログラムの提供

法令改正や金融市場の変化に対応する最新スキルを継続的に学習が可能です。

★職業倫理の徹底

高い倫理観に基づく業務遂行を教育の中核に位置付けています。

継続学習の重要性

プライベートバンカーは資格取得後も学び続けることが求められます。

 

法律や規制、金融手法は日々変化するため、最新情報を追いながら技能を磨くことが不可欠です。教育プログラムでは、セミナー形式の継続学習や、資格更新に伴うポイント制で自己研鑽を管理し、顧客からの信頼獲得につなげています。

プライベートバンカーの資格

■プライマリー・プライベートバンカー資格

初めてプライベートバンキング業務に従事するバンカー向けです。

 

資産運用、資産承継・管理、事業承継の基本知識と実務理解、顧客対応や職業倫理が問われます。

■シニア・プライベートバンカー資格

プライベートバンキングの専門家向け最上位資格です。

 

総合提案書作成による全体最適な提案力が求められます。対象は、プライマリー資格保有者や認定アナリスト資格保有者で、2年以上の実務経験があるバンカーなどです。

ファイナンシャル・プランナー資格との違い

ファイナンシャル・プランナー資格は、家計管理やライフプラン作成に重点を置くのに対し、プライベートバンカー資格はオーナー経営者を対象に、法人・個人の両面から多世代にわたる資産運用、承継、事業承継までをカバーします。

 

学習成果の最終ゴールも「総合提案書作成」に設定され、実務に直結した能力が磨かれます。

まとめ

プライベートバンカー教育プログラムは、オーナー経営者の資産や事業を守り、次世代に引き継ぐための高度な知識と実践力を身につける場です。資格取得と継続学習を通じて、顧客の信頼を獲得できるプロフェッショナル人材の育成を目指しています。

 

 

岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

 

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