アクティブファンドが再び脚光…インデックスだけじゃない!日本のアクティブ運用が個人投資家にもたらす“思わぬ恩恵”【公認会計士が解説】

アクティブファンドが再び脚光…インデックスだけじゃない!日本のアクティブ運用が個人投資家にもたらす“思わぬ恩恵”【公認会計士が解説】
(画像はイメージです/PIXTA)

近年、「手数料が高いからアクティブファンドは損」というイメージが強かった日本の投資市場。しかし、金融庁のレポートで日本のアクティブファンドが世界的に高い勝率を示したことが明らかになりました。個人投資家も、アクティブ運用の挑戦による“思わぬ恩恵”を享受できる時代が到来しています。本記事では、アクティブ運用が市場全体や投資家にもたらすメリットと、選び方のポイントを公認会計士の岸田康雄氏が解説します。

日本のアクティブファンド、世界で高評価

金融庁が発表した「資産運用業高度化プログレスレポート2023」によると、過去10年間でインデックスを上回る運用成績を上げたアクティブファンドは、日本で33%、米国で13%、欧州で21%でした。主要国の中で日本の勝率が最も高く、業界内外から「日本の運用業界の底力が示された」と評価されています。

 

金融庁自身も、アクティブファンドが企業調査や成長企業の発掘を通じて日本企業の価値向上に貢献している点を高く評価。政策的にも注目を集めています。

「アクティブ=悪」のイメージからの脱却

かつては「手数料が高く、長期投資に向かない」と批判されていたアクティブ運用。しかし個人投資家の金融リテラシー向上や、インデックス運用の普及が逆説的にアクティブ再評価につながっています。

 

たとえば、米国株式に連動する「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は純資産総額8兆円を突破。インデックス運用の理解が進むことで、あえて市場平均を超える挑戦に価値を見いだす投資家が増えているのです。

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【真実の評価】アクティブファンドが人気な理由と、インデックス投資の優位性

理論的には「インデックス」が最も効率的

金融理論の観点からは、依然としてインデックスファンドが最も効率的な運用手法と考えられます。

 

ノーベル賞学者ハリー・マーコウィッツが提唱した「現代ポートフォリオ理論(MPT)」では、投資家は「リターンを最大化し、リスクを最小化する」ポートフォリオを求めます。

 

国債などの安全資産と株式などのリスク資産を組み合わせたとき、投資家が選べる効率的な組み合わせは「右上がりの直線(効率的フロンティア)」で表されます。

 

その直線と投資可能な領域が接する1点が「最適ポートフォリオ」であり、これこそが理論上もっとも効率的な投資配分です。

 

理論に従えば、すべての投資家が選ぶべきポートフォリオは「市場全体を時価総額比率で保有すること」となります。つまり、市場平均に連動するインデックスファンドこそが合理的で、最も効率的な投資方法です。

 

個人投資家が世界中の株式に分散投資する「MSCIワールドインデックス」などのインデックスに連動するファンドを選ぶことは、この理論を実践する手段といえます。

アクティブ運用は市場の“成長エンジン”

それでもアクティブ運用には重要な役割があります。市場平均を超えるリターンを狙う過程で、成長企業を発掘・支援し、企業価値を高める“資本市場の探索者”として市場全体の質を向上させるのです。結果として、インデックス投資家も恩恵を受けられるというわけです。

 

長期的に市場平均を上回るのは難しいかもしれませんが、その挑戦が市場全体の成長を後押ししている点は見逃せません。

成熟市場での再評価

アクティブファンド人気の再燃は、一時的なブームではありません。

 

金融庁が示すように、アクティブファンドは「市場の質を高める存在」として再評価されつつあります。個人投資家の金融リテラシーが高まったことで、アクティブ運用とパッシブ運用の違いを理解したうえで選択できる時代になったのです。

 

理論的にはインデックスファンドが最も効率的ですが、アクティブファンドが挑戦を続けることにより市場全体の成長が促され、すべての投資家に恩恵が還元されます。
投資家と市場の成熟を示す、健全な動きといえるでしょう。

 

岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

 

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