(※写真はイメージです/PIXTA)

円安傾向が続く為替市場において、自らの資産を円建てに偏らせることは得策とはいい切れません。そのため、投資家としてはドル建てなど資産の多様化を検討しつつ、持続的に利益を生み出す優良企業の株を見極めることが重要です。その意味でも長期的な視点で株主を運用する「オーナー型株式投資」の考えが非常に参考になります。本記事では、ファンドマネージャーの奥野一成氏が、オーナー型株式投資を実践するときに留意すべき6カ条の中から『「相場」よりも「企業の利益」』『相場観を持たない』『購買力を上げる』について解説します。

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1ドル=200円となると、日本は後進国に転落?

そもそも、為替は先進国通貨間であれば基本的に一定のレンジ内でしか推移しません(=購買力平価説)。歴史的に見ても、円ドル相場は1ドル=115円を中心にプラスマイナス25円の範囲で動いてきました。過去に1ドル=360円から79円への円高が進んだのは、日本が先進国の仲間入りを果たしたからに過ぎません。
 

[図表2]為替レート推移


1990年代、2000年代に1ドル=50円以下まで円高が進むと言っている学者がいましたが、もしそんな事態が起こるとすれば、それは「アメリカが後進国に転落する」ことを意味するものであり現実的にはありえないことだと思います。

むしろこの数十年の日本の生産性低下などを考えると「日本が再び後進国に転落する」可能性の方が高いのではないでしょうか。実際に2024年以降に経験した150円を超える円安水準(1ドル=161円台という安値)は、「日本が再び後進国に転落する」という市場からの厳しい警告であると受け止めるべきです。

市場では「日本円は紙くずになる」「1ドル=200円時代だ」と叫ぶ人もいるようですが、私はそこまで日本がダメになっているとは思っていません。日本は長い歴史と伝統を持ち、独自の文化・自然を持つ素晴らしい国です。そのことは150円の円安環境下で外国人がこの国に殺到していることを考えれば明らかでしょう。

文化・伝統・自然といった古(いにしえ)の日本人が残してくれた財産があり、逆の言い方をすれば「まだ売れるものがある」状態なのです。これらの素晴らしい資産が安値で「買い叩かれている」状況に対して私は日本人として忸怩(じくじ)たる思いではありますが、まだ売れるものがあるうちは、直ちに200円までの円安が進むことはないと考えます。

ただ、このまま日本人が生産性改善に本気で向き合わなければ、日本人としては本当に残念ですが、1ドル=200円の後進国転落も長期的には視野に入れなければならないでしょう。こうした背景からも、投資家であるあなたは円高局面でこそリスクヘッジとして積極的に海外資産への投資を強化すべきです。

とくに、定期的に給与という形で円を稼いでいる日本人にとっては、円高時に海外資産を割安で多く買えることは、将来の生活防衛と資産形成に直結します。資本家として円高を歓迎し、積極的に利用するのです。将来のあなたは、円高のときに仕込んだ資産が大きな購買力を生み出していることにきっと感謝するでしょう。 

「現金や円建て資産に固執するか」と「世界の成長をドル建てで取り込むか」。その選択が、10年後、20年後のあなたの生活を決定づけるのです。

 

 

奥野 一成
投資信託「おおぶね」 ファンドマネージャー
農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC)
常務取締役兼最高投資責任者(CIO)

 

 

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※本連載は、奥野一成氏の著書、『武器としての投資~AI時代を生き抜く資産とキャリアの築き方~』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

武器としての投資

武器としての投資

奥野 一成

KADOKAWA

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