(※写真はイメージです/PIXTA)

円安傾向が続く為替市場において、自らの資産を円建てに偏らせることは得策とはいい切れません。そのため、投資家としてはドル建てなど資産の多様化を検討しつつ、持続的に利益を生み出す優良企業の株を見極めることが重要です。その意味でも長期的な視点で株主を運用する「オーナー型株式投資」の考えが非常に参考になります。本記事では、ファンドマネージャーの奥野一成氏が、オーナー型株式投資を実践するときに留意すべき6カ条の中から『「相場」よりも「企業の利益」』『相場観を持たない』『購買力を上げる』について解説します。

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相場観を持たない〜ドルコスト平均法による積立のすすめ~

株式市場というものは、どれほど経験を積んだ投資家でも正確に読めるものではありません。だからこそ、「相場を予測してベストなタイミングを狙う」という姿勢は、結果的に機会損失を生みがちです。

オーナー型株式投資において大切なのは、将来、たとえば5年後の自分の金融資産のうち、どれだけを株式などのリスク資産に配分したいのかという目標を定め、そのゴールに向けて淡々と積み立てていくことになります。

相場ではなく、あくまで「自分の計画」に従う――この姿勢こそが、長期的な資産形成における最も現実的で再現性の高いアプローチなのです。

そのための有力な手法が、ドルコスト平均法(DCA)です。これは、価格の上下に惑わされずに定額で投資を続けることで、投資の平準化を図る方法です。

よく「長期的に上昇する資産なら一括投資の方が有利ではないか」という指摘がなされますが、それは“良いタイミング”で一括投資できることが前提になっています。しかし、現実にはそのようなタイミングを事前に正確に見極めることは不可能です。だからこそ、時間を味方につけて積立を継続するという選択が、最終的に着実なリターンをもたらします。

またDCAに対しては「資産価格が長期的に下落し続ける場合、積立を続けても資産は増えない」という批判もあります。残念ながらこれは事実です。どんなに積立を続けても、投資対象が恒常的に価値を失う資産であれば、資産形成は実現しません。しかし、この問題は積立投資という手法そのものの限界ではなく、投資対象の選定ミスが原因です。

オーナー型株式投資では、参入障壁が高く、持続的に利益を生み出す「強い企業」を選ぶことが大前提です。適切な企業を選び、その企業が長期的に利益を拡大していく限り、株価は最終的にその成長に収斂(しゅうれん)していきます。

右肩下がりになるのは、選んだ企業の稼ぐ力が失われたときに起こる現象であり、企業選定という本質的な部分の失敗を、DCAという手法で帳消しにすることはできないのです。
 

ピンチをチャンスに!柔軟な発想による「逆張りの姿勢」

とはいえ、積立投資においても「ここぞ」という局面では、少し多めに積み立てる柔軟さも持ちたいところです。たとえば、「〇〇危機」「〇〇ショック」という言葉が日経新聞の紙面を賑わせるようなとき、多くの人が恐怖に包まれ、投資どころか売却を検討することすらあります。

しかし、実はそうした局面こそ、長期的には割安に優良企業の株を手に入れる最大のチャンスになります。なぜなら人間の社会や生活は〇〇ショックでは終わらないからです。

2020年3月のコロナショックでは、株式市場が急落し、世界中で先行き不安が渦巻いていました。その中でも冷静に積立を継続したり、追加で買い増しを行ったりした投資家たちは、1〜2年後には資産を大きくすることができました。

「麦わら帽子は冬に買う」。その逆張りの姿勢が、積立の威力を何倍にも増幅させてくれるのです。結局、積立投資における最大の敵は「退屈さ」かもしれません。派手な成果や刺激に乏しい積立投資は、日々の変化に富んだ現代において、継続が難しいと感じるかもしれません。しかし、その退屈さこそが、長期にわたる資産形成の大きな味方です。

資産形成は短距離走ではなくマラソンです。「何のために投資しているのか」という問いに常に立ち返りながら、淡々と歩みを進める。その一歩一歩が、やがてあなたの人生の確かな土台となっていくのです。

 

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※本連載は、奥野一成氏の著書、『武器としての投資~AI時代を生き抜く資産とキャリアの築き方~』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

武器としての投資

武器としての投資

奥野 一成

KADOKAWA

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