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優良な株式保有こそがインフレの最良の防御策
このような環境下で、現金を持ち続けることがいかに危険かは言うまでもありません。インフレは現金の価値を静かに削り取るサイレント・シーフ(静かな泥棒)なのです。
しかし、この厳しい時代にもかかわらず、実はインフレに打ち勝つ方法があります。それが、素晴らしい企業のオーナーになることです。
なぜ、強い企業の株式を保有することがインフレに対する最良の防御策となるのでしょうか? 答えはシンプルです。強い企業は、インフレ環境下でも最終顧客に対する価格転嫁が可能だからです。
原材料や物流費が上昇しても、そのコストを自社製品やサービスの価格に組み込み、消費者に負担させることができるのです。これは、単なる価格の押し付けではなく、その企業が顧客に選択肢を与えないほどの圧倒的な競争優位性(参入障壁)を有しているからこそできる芸当です。
たとえば、先述の「フェラーリ」を思い浮かべてください。材料費が上昇しようが、世界的な物流混乱があろうが、フェラーリはその販売価格を引き上げることができます。なぜなら、フェラーリを求める顧客は、単なる移動手段ではなく、「フェラーリという唯一無二の体験とステータス」を購入しているからです。
またインフレで価格が上がっても、顧客は離れません。なぜならフェラーリの典型的な顧客は億円単位で資産を保有する超富裕層であり、インフレ程度の値上げを全く気にしない人たちだからです。
「Visa」と「Mastercard(R)」の独壇場
また、多くの人の財布の中にある「Visa」カードはどうでしょうか? Visaは皆さんが使うカード決済の帳合をつけるシステムを開発、運営する企業として、皆さんがカードで決済するたびに、決済金額の一定割合をカード発行会社(issuer)、加盟店管理会社(acquirer)から徴収するビジネスモデルとなっています。つまり、皆さんがカード決済で消費すればするほど利益が出る仕組みとなっています。
世界経済の規模(GDP)は人口増加よりも速いスピードで増加します(増加構造1)。なぜなら1人当たりGDPはグローバルな経済成長とともに増えていくからです。
GDPに占める消費の割合は、各国が先進国化する中で徐々に増加するので、世界の消費は世界のGDP増加よりも速いスピードで増加します(増加構造2)。
その消費の決済手段として、どの国でも経済成長によって現金決済比率は下がっていきます。つまり消費の増大よりも速いスピードでカード決済金額は増えていきます(増加構造3)。
以上の増加構造1〜3により、カードで決済される金額は世界の人口増加よりも速いスピードで構造的に増加します。
そして、ここが肝心なところなのですが、カード決済の帳合をつけるシステムを運営している会社は世界広しといえども先進国には現実的に「Visa」と「Mastercard(R)」しかないのです(中国では独自に「銀聯」というシステムが存在)。
先進国ではどんなにインフレになろうが、モノの値段が上がろうが、決済システムとして我々は実質的にVisaかMastercardしか選択肢がない状態なのです。いまさらVisa、Mastercardの向こうを張ってカードの決済システムなどを作っても、この両社にはとうてい勝てる見込みはないので、だれも参入できないのです(参入障壁)。
つまり、結果として人口増よりも3重に速いスピードで収益を上げることが可能であり、着実なEPSの増大とその影としての株価の上昇をもたらすのです。

