(※写真はイメージです/PIXTA)

都市部での暮らしに疲れ、地方移住を選ぶ夫婦が増えています。中には「自然の中でスローライフを送りたい」「老後は静かな土地で畑をしたい」といった理由から、定年を機に移住を決断するケースも。しかし、理想と現実のギャップに直面し、数年で都市に戻る夫婦も少なくありません。

「孤立」と「疲れ」――まさかの決断

さらに冬になると、雪かきや凍結防止の対策に追われる日々。人と会話する機会も減り、家の中は静寂に包まれていました。

 

「近所の人は優しいけど、みんな年上でね。話題が合わないというか、どこか孤独だった」

 

移住からちょうど2年が経った頃、健一さんはある日ぽつりと真理子さんに言いました。

 

「東京に戻らないか?」

 

その一言に、妻は目を丸くしましたが、すぐにうなずいたそうです。

 

「私も、もう限界だったのかもしれない」

 

こうして、夢だった“畑のある暮らし”は静かに幕を閉じました。

 

現在、二人は都内の賃貸マンションに戻り、年金暮らしをしています。移住生活を後悔しているかと聞くと、健一さんはこう答えました。

 

「後悔はしていませんよ。ただ“夢”のままで終わらせておいた方が、きれいだったかもしれないですね」

 

地方移住に対する自治体の支援制度は拡充されていますが、それを「どう活かすか」「どこまで覚悟をもって挑むか」は、個々の状況次第です。

 

自然に囲まれた生活は魅力的ですが、そこには都市部とは異なる“別の辛さ”も存在します。移住を検討する際は、理想だけでなく「体力・医療・老後の孤独」まで含めて見据えることが大切です。

 

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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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