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「ありがとう」の一言が、人生を再び動かした
そこで思いついたのが「アルバイト」。求人サイトに載っていた地元の飲食店の短期求人に応募し、厨房補助として数日働いてみました。
すると、元営業職で人当たりがよく、コミュニケーション能力も高い佐田さんは、思いのほかスタッフに喜ばれました。「またお願いします」という温かい声が、彼の心に響いたのです。
やがて佐田さんは、その飲食店で定期的に働くようになります。接客が得意なことからホールにも出るようになり、地元の常連客とも顔なじみになりました。
そのなかの一人、スキーという共通の趣味を持つ40歳の女性と意気投合。2人の距離は自然と縮まり、1年後には結婚を視野に入れた真剣な交際にまで発展しました。
「自分1人で資産を使い切るつもりだったのですが、人と一緒に暮らすとなると、月20万円の生活費では心許ないので……」
佐田さんは、資産を減らさずに安定した暮らしを築くため、社員としてその飲食店に再就職することを決意しました。
FIREは「自由に生きる」ための手段
FIREに憧れる人は多いですが、佐田さんのように、達成後に再びなんらかの形で働く人も決して珍しくありません。米国の金融調査サイト「SmartAsset」の2023年の調査によると、FIRE後に何らかの就労を続けている人の割合は約43%に上ります。その主な理由は「退屈」「社会との繋がりへの欲求」「収入の補塡」などです。
心理学の観点でも、社会的な役割を持ち、他者に貢献して得られる承認は自己肯定感を高め、人生の満足度に深く関わっています。
佐田さんのように、十分な資産を安心の土台とし、好きなことを仕事に選ぶ。完全に引退するのではなく、生活と心のバランスを取る、そんな生き方も一つの選択肢です。
FIREができる状態になると、人生の可能性は大きく広がります。やりたいことが明確でなくても、失業給付を受けながら次のキャリアをじっくり考える時間を持てます。十分な資産があればこそ、収入より「やりがい」を優先した、満足度の高い仕事を選ぶことも可能になるのです。ハローワークの職業訓練を利用すれば、興味のある分野で新たなスキルを身につける道も開けますし、資産の一部を元手に、なにか事業を始めるのも面白いでしょう。
自分にとっての本当の幸せはなにか。どんな人と過ごし、なにを望んでいるのか。
仕事を忘れて自由を満喫する期間も素晴らしいものですが、自身の人生における本当の満足度とはなにかを問い直し、新たな道を選ぶのもまた、豊かな人生といえるのではないでしょうか。
FIREを目指すなら、単に「早く引退する」ことをゴールにするのではなく、その後の人生をどう描きたいかをじっくり考えるプロセスが欠かせません。築き上げた潤沢な資産は、あなたらしい人生をデザインするための「安心材料」です。その価値を最大限に活かしてみてはいかがでしょうか。
小川 洋平
FP相談ねっと
ファイナンシャルプランナー
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