先週の振り返り=「高市円安」で一時153円、ただ週末は急反転!!
<ポイント>
・高市自民党総裁誕生をきっかけとした円安、「高市円安」は一時153円まで急拡大。ただ週末は日本の政局流動化、米中対立再燃への懸念で株価が急落し、円高へ急反転となった。
・これまでの円安はクロス円中心に金利差から大きくかい離し、最高値更新の株価と連動。その株価には「上がり過ぎ」シグナルも目立ちだした。
・株価「上がり過ぎ」なら「株高=円安」も限界がありそう。今週の米ドル/円は149~153.5円で予想。
先週の振り返り=「高市円安」で一時153円、ただ週末は急反転!!
<「上放れ」で米ドル高急加速=円買いポジション損切りも後押しか!?>
先週の米ドル/円は、高市自民党新総裁誕生をきっかけに、一時153円台まで一段高となりました[図表1]。前週は「ダマシ」となったものの、約2ヵ月と長く続いた小動きを「上放れ」となったことで勢いづいたということだったのではないでしょうか。ただ金曜日には、連立与党からの公明党の離脱やトランプ大統領の対中関税引き上げ示唆などを受けて日米で株価が急落するなか、米ドル/円も151円割れ近くまで急反落となりました。
米ドル高・円安を急加速させた要因としては、一部投機筋の円買いポジション処分の円売りなどがあった可能性が考えられます。ヘッジファンドの取引を反映するCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、一時に比べると縮小したものの、それでもなお大幅な買い越し(米ドル売り越し)が続いていた可能性がありました[図表2]。円安が急加速したことで、そういった円買いポジションの損失拡大を回避するために、ポジション処分の円売りが急増、米ドル高・円安を後押した可能性はあったのではないでしょうか。
<週末は円高に急反転!!=日米の株価急落に連動も!?>
ただ上述のように、金曜日には米ドル/円は急反落となりました。日本の政局流動化や米中対立激化への懸念がきっかけになったわけです。米ドル高・円安は日米の金利差(米ドル優位・円劣位)から大きくかい離した動きとなっていたので、その反動が入ったということではないでしょうか[図表3]。
すでに見てきたように、ヘッジファンドなどは円買いポジションだったようですが、短期売買を行う投機筋のなかには金利差が円劣位で有利な円売りポジションを拡大していたケースも少なくなかったでしょう。
金利差から大きくかい離した円安は、とくにユーロ/円などの場合ナスダック総合指数など最高値更新が続いた株価と連動したように見えました[図表4]。これは低利で安く調達した円を売ってリスク資産に投資する円キャリー取引拡大の可能性を感じさせます。そうであれば、金曜日の日米などの株価急落で、そういった円売り取引が逆流、円高になったということではないでしょうか。




