青山さんの状況
青山勝男さんは70代の独身男性。1人暮らしを続けています。実家は自分が住んでいる家ですが、亡くなった兄弟姉妹も多く、家の名義や相続手続きが複雑になっていました。
ただし、独身ですでに亡くなっている場合は、相続人が限られる分、必ずしも複雑になるわけではありません。問題になるのは、生きている独身者や意思確認が難しい相続人がいる場合です。
青山さんの悩みは、こうです。
・そのため、家の売却やリフォームもできない
・1人暮らしで体力も落ちてきており、家の維持が負担になっている
「自分の住む家なのに、自由に動かせない……」毎日、青山さんはそう感じていました。
相続人は青山さんと兄の2人
青山さんの家族構成は、兄弟姉妹が多かったものの、亡くなっている人も多く、残っている青山さんの家族は次の通りです。
・長男(故人・独身)
・次女(故人・独身)
・次男(存命・既婚)
・相談者・青山さん(独身・実家住まい)
この家族では、5人中3人がすでに亡くなっており、そのほとんどが独身でした。独身者が多い場合、相続人は配偶者が不在で兄弟姉妹や直系血族に限定されるため、相続手続きが複雑になりやすく、遺産分割や税金負担も注意が必要です。
青山さんは唯一の実家住まいの独身者であるため、実家を守りつつ、適正な名義移転や財産承継を考える必要があります。
相続人は次男の兄と青山さんだけです。この条件ですと、相続はスムーズに進みそうですが……。
青山さんの兄は結婚していますが、認知症気味で意思の確認が難しい状況です。しかも兄の配偶者は、話を聞かず自己主張が強いタイプ。普段は表には出てきませんが、相続問題になると兄嫁との話し合いは不可避です。こうなると、相続登記や家の売却、リフォームなど、家に関わる意思決定が滞ってしまいます。
青山さんは「これは余談なんですが……」と話し始めました。
「兄嫁には昔から苦労させられています。関係ないことにも首を突っ込んできて引っ掻きまわすタイプ。私が結婚しなかったのも半分は兄嫁のせいなんです」
実家住まい青山さんの立場と名義の課題
青山さんは実家に住み続けているため、家屋や土地の名義を自分に変更したい状況です。しかし、次男の兄が結婚しており、認知症の兆候が見られることから、相続手続きの窓口としての対応が困難になっています。
さらに、兄の配偶者である兄嫁が、「人の話を聞かないタイプ」であることも影響し、相続登記や名義変更の手続きが進まない状況が続いています。このようなケースでは、手続きの遅延やトラブルが発生しやすく、専門家のサポートが不可欠です。
1.認知症気味の兄の存在
遺産分割協議や登記手続きの承諾が必要な場合、兄自身が適切に判断できないことで、青山さんが名義変更を進められないリスクがあります。
2.兄嫁の協力の困難さ
前述の通り、兄嫁が人の話を聞かない性格であることから、手続きや説明を行っても理解や協力を得られにくい状況です。このため、相続登記や実家の名義変更を進める際に、青山さんが一方的に手続きを進めることができず、時間と労力がかかることが避けられません。
