前回は、楽器可防音賃貸マンションの建設では業者選びが重要になる理由を説明しました。今回は、楽器可防音賃貸マンションの建築業者を選ぶ際のポイントを見ていきます。

どのような工法を使用しているのか?

細かな技術上の問題に触れておくと、他社の一般的な鉄筋コンクリート造の壁仕上げ工事では、従来からGL工法が採用されています。

 

この工法は、石膏を主成分とする接着剤を団子状にまるめてコンクリート面に点づけし、その上からボードを圧着する工法で、壁に凹凸があっても部分的に押さえつけることで容易に平面を保つことができ、ローコストで短工期、作業がしやすい、仕上げ厚さ(25〜40ミリ程度)が薄いなどのメリットから、急速に普及した工法ですが、住戸間の戸境壁に用いた場合、RC壁とボードの間の空洞部分で音が太鼓のように共鳴(コインシデンス効果)して増幅され、隣の音が筒抜けになることがわかっています。

 

音抜け現象の発生の程度は、空気層の厚さや接着の間隔、施工条件などによって違ってくるものの、その遮音性能はRC壁のみの場合より著しく劣るという極端なケースもあり、その遮音性能はD-40(建築学会の遮音性能基準の3級)以下になる場合もあります。

 

十分な遮音性能を確保するためにも、業者を選ぶ際には、どのような工法を使っているのかという点もしっかりとチェックすることをお勧めします。

「ボリュームチェック」のスキルが不可欠な理由

楽器可防音賃貸マンションに限らず不動産投資を万全の状態で進めていくために、一般論として、どのような業者をパートナーに選ぶべきなのか、という問題についても触れておきましょう。

 

まず重視したいのは、不動産開発だけではなく設計も行える体制を整えているということです。

 

不動産投資では何よりもスピードが求められることになります。のんびりとしていては理想的な物件を得ることができません。

 

ことに都市部では、「○○によい土地が出た」などといった〝お得情報〞は瞬く間に業者の間を駆けめぐり、〝掘り出し物〞はあっという間になくなってしまいます。

 

したがって、マンションを土地から探して建てようとする場合には、土地の情報が入ったら迅速に、必要な判断を下さなければなりません。具体的には、「その土地から最も効率よく収益をあげるためには、どのような建物を建てるのがベストなのか」という問いについてわずかな時間の中で検討し、解答を見つけることが求められます。

 

そのためには、その土地に認められている容積率を最大限に使い、どれだけの規模の建物が建つのかを、頭の中に設計図をイメージして思い描く能力、すなわち〝ボリュームチェック〞のスキルが不可欠となります。そして、この〝ボリュームチェック〞を時間のロスなく行うためには、業者が設計事務所の機能も備えていなければ難しいでしょう。

 

外部の設計事務所などにボリュームチェックの作業を依頼すれば、そのやりとりだけで数日があっという間に過ぎてしまうはずです。

 

そのような悠長なことをしている間に、お目当ての土地が別の誰かに買われてしまうのは間違いありません。

本連載は、2016年3月1日刊行の書籍『"楽器可防音マンション経営"で実現する鉄壁の資産防衛』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

"楽器可防音マンション経営"で 実現する鉄壁の資産防衛

"楽器可防音マンション経営"で 実現する鉄壁の資産防衛

大塚 五郎右エ門

幻冬舎メディアコンサルティング

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