前回は、投資家の利益を優先する「コンストラクションマネジメント」について説明しました。今回は、建物の開発に要する時間が相続対策ではリスクになる理由を見ていきます。

建物建築中に相続が発生した場合の評価は?

相続がいつ発生するかは誰にもわかりません。どれほど優秀な税理士のコンサルティングにしたがった相続税対策だったとしても、間に合わなければ節税効果は全く発揮されません。

 

たとえば、相続開始3年以内に取得された資産は、相続税評価額ではなく取得価額で評価されることがあるからです。土地の場合は時価のままであり、建物建築中に相続が発生した場合、建物は建設費用の70%の評価となります。

 

マンションの敷地となる土地は、取得から3年以上経過すれば、路線価方式または倍率方式により、また建物は固定資産税評価額に一定の倍率を乗じることにより評価されます。

建築中のおよそ2倍の節税効果がある完成後の建物

建物の固定資産税評価については、都内の物件であれば都税事務所が建物竣工後に調査をしたうえで評価額が決定されますが、建築費のおよそ50〜60%程度に設定されることが多いようです。固定資産税評価額が建設費の60%に設定されたと仮定すると、賃貸用建物の相続税評価額は、0.7(1-借家権割合0.3)を乗じて、建設費の42%まで圧縮されます。相続税の対象となる課税財産の評価を、建設費の6割ほど引き下げることが可能になるわけです。つまり建物は完成後であれば建築中のおよそ2倍の節税効果があります。

 

建物をゼロから計画し、設計・ローン審査・建築確認申請・着工すると、竣工まで1年以上の期間を要する場合もあります。

 

マンションの敷地となる土地の相続税評価も、建物が竣工して賃貸の用途に供するまでの期間は、貸家建付地の評価減(1‐借地権割合×借家権割合)を受けることができません。

 

これらの開発に要する時間が、相続税対策の場合には、潜在的に大きなリスクとなる可能性があるのです。

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