(※写真はイメージです/PIXTA)

国税庁の調査によると、正規社員の平均給与は530万円(『令和5年分 民間給与実態統計調査』)。この水準に到達すれば、ひとまず「安心」できると思う人も多いかもしれません。しかし現実には、ようやく平均に並んだタイミングで“これ以上は上がらない”という限界を感じ、不安を抱える人も少なくありません。

年金は「月15万円台」…それで生活できるのか?

老後の備えとして心強いはずの公的年金。しかし、実際の支給額は“想像より少ない”と感じる人が多いのではないでしょうか。

 

厚生労働省が運営する『一緒に検証!公的年金』によると、厚生年金に40年間加入し、その間の平均月収(賞与含む)が43.9万円だった場合、受給額は以下のようになります。

 

老齢厚生年金:約9.0万円

老齢基礎年金:約6.5万円

合計:約15.6万円(月額)

 

これは年収にすると約526.8万円で、まさに岸野さんがようやく届いた水準と一致します。つまり「平均的な給与を40年間維持」できたとしても、年金は月16万円弱しかもらえないのです。

 

しかも、賃貸住まいであれば、そこから毎月の家賃・光熱費・食費などをまかなわなければならず、余裕のある老後とは言い難い生活が想定されます。

 

「定年までこの会社があるのか、自分の給与が維持できるのか……不安ばかりです。“平均”にたどり着いたのに、この先が見えない。ようやく並んだと思った瞬間、実はもう“追い抜かれていた”んじゃないか、って思うんです」

 

将来に希望が持てず、打つ手も見当たらない——そんな感覚に囚われる人は、岸野さんだけではないかもしれません。

 

政府もこうした現実を受け、副業や兼業を後押ししています。厚生労働省の『副業・兼業の促進に関するガイドライン』では、次のように述べられています。

 

“副業・兼業は、社会全体としてみれば、オープンイノベーションや起業の手段としても有効であり、都市部の人材を地方でも活かすという観点から、地方創生にも資する面もある”

 

かつてはひとつの会社でキャリアを築くのが当然とされてきました。しかし、今は「収入源を分散させる」ことが生き残りの選択肢になる時代。副業、転職、スキルアップ、投資……どんな選択肢であれ、“打つ手なし”で立ち尽くす前に、次の一手を模索する必要があるのかもしれません。

 

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