(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産の相続手続きを終えないまま相続人の死が重っていき、糸がもつれるように解決困難となってしまった、あるきょうだいの相続トラブル。残された高齢の姉は、すべてを相続放棄することもできず大変な局面に立たされますが――。多数の相続問題の解決の実績を持つ司法書士の近藤崇氏が、実際にあった事例から、現代の日本に潜む「孤独死」「貧困」「相続トラブル」について読み解いていきます。

きょうだいの亡き配偶者の相続人は「合計13名」

このケースを解決するには、熟慮期間内中に「兄嫁の相続人」を探すしかありません。

 

そこで筆者は、千恵さんと管理組合と双方から話を聞いた結果、とりあえず下記のように進めてみることにしました。

 

①千恵さんはまず、大輔さんについての「相続放棄の熟慮期間の延長」を申述する。

 

②そのあいだ、管理組合の費用立替負担で、亡き洋介さんの妻、雪乃さんのきょうだいや甥姪を探す。

 

相続放棄の熟慮期間の延長は、相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月内に相続の承認か相続放棄を決めることができない場合、家庭裁判所に申立てることにより、この3ヵ月の「熟慮期間」を延ばすことができます。

 

延長期間は稀に6ヵ月を認められることもありますが、筆者の事務所で申請を出したケースでは、裁判所としての判断は概ね3ヵ月のケースが多いように思います。

 

千恵さんのこの熟慮期間内に、15年以上前に亡くなった兄嫁の雪乃さんのきょうだいを探さなければなりません。

 

もちろん、連絡先がわかったところで、相続の手続きに協力してくれる保証はありません。しかし、問題の根本解決にはこの方法しかありません。筆者も最優先の案件として取り組みました。

 

結局、雪乃さんの相続人である半血のきょうだいは5人全員が亡くなっており、その子どもは合計13名でした。

 

速達などの郵便をやりとりして合計13名の相続人すべてと連絡が取れたのは、大輔さんが亡くなってから5ヵ月後です。そして、この13名全員が雪乃さんと会ったことはなく、亡くなったことも知りませんでした。そもそも叔母にあたる雪乃さんの存在すら知らない方もいました。

 

今回は奇跡的に、13名全員が相続の手続きや相続放棄の手続きに協力してくれたため、不動産の名義は下記のように登記をすることができました。

 

洋介・雪乃夫婦の共有

  ↓

亡 洋介単有(雪乃さん持分の移転)

  ↓

千恵と亡 大輔共有(法定相続分での登記)

  ↓

千恵単有(大輔さんの持分移転)

 

今回、この登記ができたのは、本当に奇跡としかいえません。この後、千恵さんは不動産を売却し、大輔さんの管理組合への未納金や今回の手続き費用の支払いを完了することができました。

次ページ自筆証書遺言でもいいから、残しておくべきだったのに

本記事は、司法書士法人 近藤事務所が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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