(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の相続税は最高税率55%と、世界でも高い水準です。一部の富裕層の間では「相続税のない国に移住すれば課税を避けられる」と考える人もいます。しかし、2017年度の税制改正により、単なる海外移住では課税回避はほぼ不可能になっています。『富裕層が知っておきたい世界の税制【大洋州、アジア・中東、アメリカ編】【カリブ海、欧州編】』を刊行した矢内一好氏が海外移住による相続税対策について詳しく解説します。

ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中! 

『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)

『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)

『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)

シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!

日本の相続税と海外移住の誤解

日本の相続税は最高税率55%と、世界的にも高い水準です。アジア・オセアニア地域では、香港やシンガポール、オーストラリア、ニュージーランドなど、相続税が課されない国もあります。このため、一部の富裕層の間では「相続税のない国に移住すれば日本の相続税を免れる」といった誤解が広がっています。

 

しかし、被相続人が海外に移住するだけでは租税回避は成立しません。相続税の課税を回避するには、被相続人、相続人、相続財産のすべてを国外に移し、さらにその状態を10年間維持する必要があります。

税制改正で海外移住計画は変化

2017年度の税制改正では、相続人または被相続人が10年以内に日本国内に住所を有する日本国籍者である場合、国内外の財産の両方が課税対象となりました。従来の5年から10年に延長されたことで、以前の計画で海外移住を行っていた人にとっては大きな影響がありました。

 

改正後の納税義務者は以下の4種類に分類されます。

 

  1. 居住無制限納税義務者
  2. 非居住無制限納税義務者
  3. 居住制限納税義務者
  4. 非居住制限納税義務者

 

実際、日本の経営者の中には、海外移住計画を断念し帰国したケースも報告されています。さらに、国税庁によれば、富裕層による申告漏れ所得は2022事務年度に合計980億円となり、統計開始以来最大となりました。

非居住制限納税義務者の相続税の例

具体例で考えてみます。

 

  • 被相続人:外国に10年以上居住(国内に住所なし)
  • 相続人A:日本在住(日本国籍)
  • 相続人B:外国籍、国内に住所なし
  • 相続財産:国内1億円、国外1億円
  • 分配:AとBで均等

 

この場合、被相続人は非居住被相続人に分類されます。

 

A(居住無制限納税義務者)は、国内財産5,000万円+国外財産5,000万円が課税対象

B(非居住制限納税義務者)は、国内財産5,000万円のみ課税対象

 

結果として課税財産は合計1億5,000万円となり、基礎控除額4,200万円を差し引いた後、法定相続人の取得額をもとに相続税額が算出されます。

 

まとめ

単純な海外移住による相続税回避は、制度上ほぼ不可能です。被相続人・相続人・財産の移転を長期にわたって維持する必要があるため、計画には高度な注意と専門家の判断が求められます。富裕層であっても、安易な移住による税逃れは現実的ではないことを理解しておく必要があります。

 

 

矢内 一好

国際課税研究所首席研究員

 

企業オーナー・医療法人のための
事業と個人の安心を守る「グローバル資産戦略」
>>>12月11日(木)ライブ配信

 

富裕層だけが知っている資産防衛術のトレンドをお届け!

 

             >>カメハメハ倶楽部<<

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【12/9開催】
「資産は借りて増やせ!」
3年間で延べ1,500社以上を担当した元銀行トップセールス社長が語る
“新規事業×融資活用”で資産を増やすレバレッジ経営戦略

 

【12/11開催】
企業オーナー・医療法人のための
事業と個人の安心を守る「グローバル資産戦略」
〜実例で学ぶ 経営資産の防衛と承継設計〜

 

【12/13-14開催】
不動産オーナーのための「法人化戦略」
賢いタックスプランニングで“キャッシュを最大化する”方法

 

 

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録