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分散管理の基本戦略
富裕層が資産運用で重視すべきなのは、単に資産を増やすことだけではなく、まず「資産を減らさないこと」です。そのための基本戦略が「分散管理」です。
1. 資産の種類でリスクを分散する
まずは、資産の種類ごとに分散させることが重要です。現金・預金、株式、債券、不動産、金など、リスク特性の異なる資産を組み合わせることで、予期せぬ損失を軽減できます。
たとえば、預金だけを考えた場合も、同じ銀行に集中させるか、複数の銀行に分けるかでリスクの度合いは変わります。同じ銀行にまとめれば優遇サービスを受けやすい一方で、万が一の破綻リスクは集中してしまいます。
不動産投資も同様です。値上がりしている都市部に複数の物件を所有しても、地震や火災などのリスクが地域に集中するため、分散管理の観点では不十分です。
2. 金・暗号資産・海外資産への分散
金は、経済不安や通貨不安の際に価値が上昇しやすく、相続評価も売買実例や専門家の意見に基づいて行われます。暗号資産も同様に、取得時の価格を基に課税されるため、リスク管理と税務への配慮が必要です。
海外資産への分散も可能ですが、日本居住者が外国銀行口座を開設するには一定の条件があります。スイスやシンガポール、香港などのプライベートバンキングは、概ね300万ドル以上の資産を持つ人向けです。また、AEOI(金融口座情報の自動交換制度)により、国外口座の情報は日本の税務当局と自動的に共有されます。
さらに、海外送金にも制限があります。日本からの送金が100万円を超える場合は「国外送金等調書」の提出が必要で、5,000万円以上の海外財産については「国外財産調書」の提出義務があります。こうした規制を踏まえ、海外資産への分散は慎重に計画することが求められます。
矢内 一好
国際課税研究所首席研究員
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