(※写真はイメージです/PIXTA)

富裕層が資産運用で最も重視すべきことは、単に資産を増やすことではなく「資産を減らさないこと」です。そのための基本戦略が「分散管理」。現金や株式、不動産だけでなく、金・暗号資産・海外資産まで幅広く分散させることで、予期せぬ経済変動やリスクから資産を守ることができます。『富裕層が知っておきたい世界の税制【大洋州、アジア・中東、アメリカ編】【カリブ海、欧州編】』を刊行した矢内一好氏が海外移住による相続税対策について詳しく解説します。

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分散管理の基本戦略

富裕層が資産運用で重視すべきなのは、単に資産を増やすことだけではなく、まず「資産を減らさないこと」です。そのための基本戦略が「分散管理」です。

1. 資産の種類でリスクを分散する

まずは、資産の種類ごとに分散させることが重要です。現金・預金、株式、債券、不動産、金など、リスク特性の異なる資産を組み合わせることで、予期せぬ損失を軽減できます。

 

たとえば、預金だけを考えた場合も、同じ銀行に集中させるか、複数の銀行に分けるかでリスクの度合いは変わります。同じ銀行にまとめれば優遇サービスを受けやすい一方で、万が一の破綻リスクは集中してしまいます。

 

不動産投資も同様です。値上がりしている都市部に複数の物件を所有しても、地震や火災などのリスクが地域に集中するため、分散管理の観点では不十分です。

2. 金・暗号資産・海外資産への分散

金は、経済不安や通貨不安の際に価値が上昇しやすく、相続評価も売買実例や専門家の意見に基づいて行われます。暗号資産も同様に、取得時の価格を基に課税されるため、リスク管理と税務への配慮が必要です。

 

海外資産への分散も可能ですが、日本居住者が外国銀行口座を開設するには一定の条件があります。スイスやシンガポール、香港などのプライベートバンキングは、概ね300万ドル以上の資産を持つ人向けです。また、AEOI(金融口座情報の自動交換制度)により、国外口座の情報は日本の税務当局と自動的に共有されます。

 

さらに、海外送金にも制限があります。日本からの送金が100万円を超える場合は「国外送金等調書」の提出が必要で、5,000万円以上の海外財産については「国外財産調書」の提出義務があります。こうした規制を踏まえ、海外資産への分散は慎重に計画することが求められます。

 

矢内 一好

国際課税研究所首席研究員

 

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