家宝として受け継がれてきた「アンティークコイン」
アンティークコインは、当然ながら遙か昔から存在していました。それは、貴族階級と呼ばれる方々が自分の子孫に伝承してきたもので、誰にも知られないものでした。長い歴史のなかで公になることもなく、密かに世代を超えて受け継がれてきたものだと認識しています。それらは表に出ることは決してない、家宝と言って差し支えのない財産でした。
例えば世界的に人気の高い「ウナとライオン」というコインは、1839年の英国でヴィクトリア女王が即位するタイミングで作られ、その数は400枚しか存在しない貴重な記念コインです。女王の家系、近親者、一部の側近などが手に出来る宝であり、親から子へ、その家系が続く限り、受け継がれていくといった性質のものなのです。
しかし、時代が流れるうち、理由はわかりませんが、由緒ある家柄であっても宝を手放すといったことがあるわけです。その時、「売りに出ている」といった限られた情報は富裕層のみが知りえるもので、富裕層が買い手となり、購入し資産を形成してきた、というのが知られざる事実だったといえます。
インターネットにより誰でも手に入れられる時代に…
一方、近年はインターネットが発達し、一個人であっても欲しいと思えばアンティークコインが手に入る時代になってきました。これまでは秘匿されてきた裏側の世界の情報も表に出回り、貴族階級ではない一般の人々も売買ができるようになったのです。いまはまだ、アンティークコインが少しずつ表に出初めてきている状況と言えるのではないでしょうか?
実は日本でも数千万円を超える海外コインが盛んに取引されていたという事実があります。高価な絵画のように新聞やテレビニュースで報道されることもなく、それは水面下で行われてきたのです。私も含め、知らないのが当然と言えます。
現在、アンティークコインの市場は拡大しつつあります。ただあくまで相対取引が基本となるため、正確な市場規模は把握できないのが現状ですが、日本では100億円から200億円規模と見ています。
この数字の裏付けはインターネットオークションなどの、取引データによるものです。オークションで見える取引が、全体の5%程度だとすると、オークションで落札された金額の総計が例えば10億円だったら市場全体では200億円になるというのがおおよその見立てです。この計算を用いれば、アメリカは6000億円、ヨーロッパは数千億円、世界全体では1兆円強の規模であろうと見ています。
世界各国のGDPと比較した時、日本はGDPに対して極端に少ない状態にあり、これからまだまだ伸びしろを感じさせる規模感なのです。