タワマン乱立の日本「ステータス」求めて住む人も
2000年の建築基準法改正により、総合設計制度の緩和が進んだことで、首都圏近郊ではタワーマンションの建設ラッシュが始まりました。「西新宿パークサイドタワー」や「センチュリーパークタワー」「西早稲田シティタワー」など、ランドマーク的な存在が次々に誕生していったのです。
そのムーブメントは現在も続いています。たとえば大江戸線「勝どき」駅周辺は、晴海フラッグの開発も追い風となり、タワマン激戦区となっています。『勝どきビュータワー』『THE TOKYO TOWERS』『DEUX TOURS』『ザ・タワー』『パークタワー勝どき』など、大型物件が立ち並びます。
そして2026年には、『ザ・豊海タワー マリン&スカイ』が竣工予定。海を一望できる贅沢なロケーションに、またひとつ新たなランドマークが加わろうとしています。
こうしたベイエリアのタワマンには、“眺望代”と呼ばれる価格差があり、階層の高低や方角によって価格が大きく異なるのも特徴です。「いつかはタワマンに住んでみたい」と夢見る人も多く存在します。
「一度は住んでみたい」夢の代償
こうした生活に憧れを抱いたというのが、33歳の吉山さん(仮名・会社員)夫婦。結婚を機に、家賃18万円・30平米の1DKタワマンで新生活を始めました。吉山さんの年収は450万円、月の手取りは30万円ほどです。
「夫婦で、いつかタワマンに住んでみたいと話していたんです。眺めのいい部屋で2人でお酒を飲んだら楽しいだろうなと。妻もパートで働いていたので、暮らしていけると思っていました」
ところが、最近の物価高やエネルギー費の上昇が家計を圧迫しはじめます。加えて、妻のパート先では人員整理が行われ、シフトの削減によって収入が減少。思っていた以上に「夫婦で支え合っていく」という形が難しくなってきました。
「最初から余裕のある家計ではなかったですが、光熱費や食費、日用品の値上がりが重なって、ふたりとも少しずつ不安を感じるようになりました」
固定費の見直しを考えた末、吉山さん夫婦は「住まいを変える」という決断を下します。
