年収400万円でタワマンに?「今はここがいい」
国税庁『令和5年分 民間給与実態統計調査』によると、日本の給与所得者(1年を通じて勤務した者)は5,076万人。平均給与は460万円で、正規社員は約530万円、非正規社員は約202万円となっています。
給与階級別で最も人数が多いのは、男性が「400万円超~500万円以下」(504万人)、女性は「100万円超~200万円以下」(449万人)です。
大学卒業後、都内のIT企業に就職した坂本さん(仮名・29歳)。現在の年収は約400万円、手取りは年310万円ほど。毎月の手取り収入はおよそ25万円とのことです。
「残業は月30時間程度。見込み残業に収まるよう調整されていて、給料が増えることはありません。終わらない分は土日に自宅で作業しています。昨年まで家賃7万円の1Kに住んでいましたが、結婚を機に妻とタワマンに引っ越しました」
住まいは、都内にある家賃15万円の1DKタイプのタワーマンション。いわゆる「高嶺の花」のような暮らしぶりに見えますが、坂本さんは淡々とこう語ります。
「妻は3歳年下で、今は社会人4年目。年収は300万円くらいらしいです。副業でアクセサリーのネット販売もしているので、世帯年収は700万円ちょっとあると思います」
坂本さんに、「結婚を機に一軒家や分譲マンションは考えなかったのか?」と尋ねると、少し驚くような答えが返ってきました。
「実は、祖母が遺した一軒家が都内にあるんですよ。今は空き家ですが、固定資産税などは父が管理してくれています。昔ながらの平屋で、小さいながら庭もある落ち着いた家です。祖母は生前『この家はお前にあげるからね』と言っていたらしく、遺言書にもそう書いてくれていたみたいです」
つまり、坂本さんにはすでに“帰る家”があるのです。現在のタワマン暮らしは、いわば期間限定の“体験”のようなもの。
「タワマンは妻の希望でした。でも、住んでみて良かったです。今の暮らしを楽しんで、子どもができたら落ち着いた生活に戻るつもりです。家があるから住宅ローンを組む必要もないし、人生設計に大きな不安は感じていません」
