世帯年収700万円でも「カツカツなんです」
厚生労働省『人口動態統計月報年計(令和5年)』によると、全国の平均初婚年齢は夫が31.1歳、妻が29.7歳。まさに「平成1ケタ世代」が結婚適齢期の真っ只中にいることがわかります。
平成4年生まれのAさん(仮名・男性・32歳)は、従業員50名規模のIT企業で働く会社員。年収は約400万円、ボーナスはなく、月の手取りは26万円ほどです。
4年交際した女性(平成8年生まれ)と結婚し、共働きで世帯年収は700万円を超えました。しかし新婚早々、Aさんは思いがけない“経済的不安”に直面したといいます。
「妻の周囲が結婚ラッシュだったらしくて、交際中から『いつ籍入れるの?』ってプレッシャーがすごかったんです。僕も結婚する気ではいたけれど、正直もう少し先でもいいと思っていました。というのも……貯金が全然なかったので」
Aさんの現在の貯金は、普通預金で30万円のみ。定期預金や積立も一切なく、奨学金の返済も残っています。
「ずっと一人暮らしで、貯める余裕なんてなかったんですよ。お互い給料が高いわけでもないし、結婚してから“どう乗り切ろうか”って不安だらけです」
国税庁『民間給与実態統計調査(令和5年)』によれば、正規社員の平均給与は約530万円。非正規社員は約202万円。Aさんは正社員とはいえ、平均をやや下回る水準です。
「子どもは欲しいけど…」というAさんに、妻は「2年以内には絶対に作る」と断言しているといいます。
「子どもは好きです。でも、自分の生活すら回せていないのに、“子どもを育てる”という実感が持てないんですよ。特に僕は奨学金で苦労したから、子どもには楽をさせてあげたい。でも現実には、その余裕がない」
Aさんのように、「結婚したけれど、将来の生活設計が立てられない」と悩む人は少なくありません。
