米経済の先行き不透明感に不安を感じる人が増え、資産をどう守るべきか悩む声が高まっています。こうしたなか、金価格は過去最高を更新。安全資産としての存在感を一段と強めています。本記事では、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが、そんな金が上昇する背景にあるFRBの政策や地政学リスク、中央銀行の動向、脱ドル化の潮流などを整理し、2025年9月の金の現状と今後の金価格の見通しを5つのデータから読み解きます。
現在の強気サイクルでは金の分散投資効果が鮮明
◆分散投資効果としての金
米国の株式/債券の相関性は2025年第3四半期に若干弱まったものの、依然として約27年来という歴史的な強さにあります※5。2021~2022年のインフレ急騰以降続く米国の株式/債券のプラスの相関性により、金をマクロ・ポートフォリオ・オーバーレイ、そしてテール・リスクのヘッジに使う根拠が強まっています。
◆不確実性下で高まる金の分散効果
金は国債や投資適格社債の代わりではありません。しかし、ボラティリティが高く不確実性の大きいインフレ環境下、さらに通商政策やFRBの政策によって悪化し得る地経学リスクが残るなかで、金は「デュレーション」や「分散投資」のヘッジとして使用する機会が増える可能性があります。
◆脱ドル化の流れが金を支える
パンデミック後に一段と強さを増している金と米ドルの逆相関性により、脱ドル化やフィアット通貨の代替資産として金に投資をする根拠が強まっています。ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントならびにウォール街のコンセンサス予想では、中期的に米ドルに対して弱気を維持しています。
こうした予測の方向性が正しいことが証明されれば、たとえ米国の株式/債券の相関性がパンデミック前や世界金融危機前の水準近くまで正常化しても(当面そうなる公算は低いと思われます)、おそらく金市場はデノミネーション効果の恩恵を受けるでしょう。
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ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントは、約半世紀にわたり、機関投資家、金融プロフェッショナル、そして個人投資家に、より良い成果をもたらしてきた。
インデックス運用やETF(上場投資信託)分野における早期からの取り組みを含め、同社の投資手法は、市場に裏付けられた運用ノウハウと、投資家ニーズへの継続的な対応を基盤としている。
2025年6月末時点において、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが関与する運用資産残高は5兆米ドルを超えており、60カ国以上の顧客に対してサービスを展開している。その中には、グローバル規模での戦略的パートナーシップを通じた提供も含まれ、コスト効率に優れた幅広い投資手段を提供している。ETFの運用資産総額1兆6,898.3億米ドルを含み、そのうち約1,160.5億米ドルは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・ファンズ・ディストリビューターズ・エルエルシー(「SSGA FD」)がマーケティング・エージェントを行っているSPDRの金の資産となっている。SSGA FDはSSGAの関連会社で、すべての運用資産残高は監査前の数値。
なお、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が行う資産運用関連業務のブランド名である。
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連載【ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント】金市場を徹底分析
〈注釈〉
※1 Source: IMF, as of 12/31/2024.
※2 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※3 Source: BLS, University of Michigan, as of 8/31/2025.
※4 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※5 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※6 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※7 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※8 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※9 Source: Eichengreen, Barry, Livia Chiţu and Arnaud Mehl, as of 8/31/2025.
※10 Source: IMF, State Street Investment Management, as of 3/31/2025.
※11 Source: World Gold Council, as of 6/30/2025.
※12 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※13 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※14 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※15 Source: World Gold Council, as of 6/17/2025.
※16 Source: World Gold Council, as of 6/17/2025.
〈用語集〉
・中央銀行……国または国家連合のために、貨幣および信用の創造と分配を独立性を持って管理する金融機関
・フィアット通貨……政府が法定通貨であると宣言した貨幣ですが、金や銀といった現物のコモディティで裏付けられていません。フィアット通貨の価値は、発行政府に対する公衆の信頼と、交換手段としての集団的受容に由来しています。
・金のスポット価格……スポット市場における金の価格。国際的通貨コード「XAU」で表記される、1トロイオンス当たりの金価格。米ドル建て。
・LBMA午後金価格(米ドル/オンス)……LBMA金価格はIBAが独立して管理し、価格算出のためのオークション・プラットフォームを提供していますが、知的所有権はLBMAに帰属します。プラットフォームは、電子的に取引および監査が可能で、証券監督者国際機構(IOSCO)の金融ベンチマークに関する原則に沿って設計されています。
・実質金利……インフレ調整後の金利。物価上昇の影響を取り除くことで、真の借入れコストおよび投資による実際の利回りを反映します。
・米連邦公開市場委員会(FOMC)……米連邦準備制度内にある委員会で、金融政策を決定します。
・連邦政府赤字……米国政府の歳出額(支出額)が、税金やその他の源泉からの歳入額(受取額)を上回る額を示します。政府がある会計年度に徴収した金額以上に支出をした場合、財政赤字を抱えることとなり、このギャップを穴埋めするため、米国債を発行して資金を借り入れる必要があり、国の累積債務の増加につながります。
・脱ドル化……各国が国際貿易、金融取引、外貨準備における米ドル依存を減らすプロセスで、多くの場合、その背景には地政学的動機、制裁リスク、自国通貨の主権確保の取り組みがあります。
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本稿に示されている見解は 2025 年8月 31 日時点の SPDR ゴールド戦略チームの見解であり、市場やその他の状況によって変わ
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