(※画像はイメージです/PIXTA)

米経済の先行き不透明感に不安を感じる人が増え、資産をどう守るべきか悩む声が高まっています。こうしたなか、金価格は過去最高を更新。安全資産としての存在感を一段と強めています。本記事では、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが、そんな金が上昇する背景にあるFRBの政策や地政学リスク、中央銀行の動向、脱ドル化の潮流などを整理し、2025年9月の金の現状と今後の金価格の見通しを5つのデータから読み解きます。

8月のETF資金差は景気不安の兆し

◆ETFフローに表れる投資家心理

米国で上場するビットコインETFと金ETFは、ドルのヘッジ取引および代替資産に対する需要が拡大するなか、いずれも2025年に購入活動がネットベースで高まっています。

 

しかし8月には、スポット金のフロー(流入)とスポット・ビットコインのフロー(流出)の月間の乖離(かいり)が2025年3月以降で最大となりました。8月の米国の主要な金ETFが40億ドルの流入超となったのに対して、主要ビットコインETFは9億ドルの流出超となりました※4

 

◆リスクオフ需要が金を選好

今年、この2つのフィアット通貨の代替資産セクターへの資金フローは流入超となっていますが、最近のビットコイン/金レシオの低下は、投資家のあいだで低ボラティリティ資産、リスクオフ・ヘッジ、流動性に対する需要が高まっていることを示唆していると思われます。

 

もちろん1ヵ月の動きだけではトレンドとはいえませんが、2月中旬から4月中旬にかけての相場下落が示すように、ボラティリティが急激に上昇する局面では、金のような高品質で流動性の高い代替資産はポートフォリオの安全な逃避先となります。

 

◆投資家は“左側のテールリスク”を意識

月末にかけての株式市場の記録的バリュエーションや暗号資産セクターに対する規制の追い風を踏まえると、8月のビットコインの流出トレンドはより不可解です。

 

この点に関して、投資家は、現在の高バリュエーションで右側のテール・イベントに対するグロス・レバレッジを削減し、「スタグフレーション」リスクが迫り来るなか左側のテール・イベントに対するヘッジを模索している可能性もあります。最近の資金フローの乖離は注視する価値があります。

 

出所:ブルームバーグ・ファイナンスL.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント(1990年~2025年) 注: 米国株式にはS&P 500指数を、米国債券には、投資適格の米ドル建て固定金利課税債券市場のパフォーマンスを測定するブルームバーグ米国総合指数を使用しています。金価格はLBMA午後金価格を、米ドルは米ドル指数(DXY)をそれぞれ参照しています。
[図表3]米国の株式/債券、米ドル/金の四半期ごとの対数正規リターンのローリング3年相関性 出所:ブルームバーグ・ファイナンスL.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント(1990年~2025年) 注: 米国株式にはS&P 500指数を、米国債券には、投資適格の米ドル建て固定金利課税債券市場のパフォーマンスを測定するブルームバーグ米国総合指数を使用しています。金価格はLBMA午後金価格を、米ドルは米ドル指数(DXY)をそれぞれ参照しています。

 

【12/18(木) 『モンゴル不動産セミナー』開催】

坪単価70万円は東南アジアの半額!! 都心で600万円台から購入可能な新築マンション

次ページ現在の強気サイクルでは金の分散投資効果が鮮明

〈注釈〉
※1 Source: IMF, as of 12/31/2024.
※2 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※3 Source: BLS, University of Michigan, as of 8/31/2025.
※4 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※5 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※6 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※7 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※8 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※9 Source: Eichengreen, Barry, Livia Chiţu and Arnaud Mehl, as of 8/31/2025.
※10 Source: IMF, State Street Investment Management, as of 3/31/2025.
※11 Source: World Gold Council, as of 6/30/2025.
※12 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※13 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※14 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 8/31/2025.
※15 Source: World Gold Council, as of 6/17/2025.
※16 Source: World Gold Council, as of 6/17/2025.

〈用語集〉

・中央銀行……国または国家連合のために、貨幣および信用の創造と分配を独立性を持って管理する金融機関

・フィアット通貨……政府が法定通貨であると宣言した貨幣ですが、金や銀といった現物のコモディティで裏付けられていません。フィアット通貨の価値は、発行政府に対する公衆の信頼と、交換手段としての集団的受容に由来しています。

・金のスポット価格……スポット市場における金の価格。国際的通貨コード「XAU」で表記される、1トロイオンス当たりの金価格。米ドル建て。

・LBMA午後金価格(米ドル/オンス)……LBMA金価格はIBAが独立して管理し、価格算出のためのオークション・プラットフォームを提供していますが、知的所有権はLBMAに帰属します。プラットフォームは、電子的に取引および監査が可能で、証券監督者国際機構(IOSCO)の金融ベンチマークに関する原則に沿って設計されています。

・実質金利……インフレ調整後の金利。物価上昇の影響を取り除くことで、真の借入れコストおよび投資による実際の利回りを反映します。

・米連邦公開市場委員会(FOMC)……米連邦準備制度内にある委員会で、金融政策を決定します。

・連邦政府赤字……米国政府の歳出額(支出額)が、税金やその他の源泉からの歳入額(受取額)を上回る額を示します。政府がある会計年度に徴収した金額以上に支出をした場合、財政赤字を抱えることとなり、このギャップを穴埋めするため、米国債を発行して資金を借り入れる必要があり、国の累積債務の増加につながります。

・脱ドル化……各国が国際貿易、金融取引、外貨準備における米ドル依存を減らすプロセスで、多くの場合、その背景には地政学的動機、制裁リスク、自国通貨の主権確保の取り組みがあります。


【ご留意事項】
本書は、投資の推奨や投資アドバイスを意図したものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。
本稿に示されている見解は 2025 年8月 31 日時点の SPDR ゴールド戦略チームの見解であり、市場やその他の状況によって変わ
る場合があります。本資料には、将来の見通しと見なされる可能性のある記述が一部含まれています。その様な記述は、将来のパフ
ォーマンスを保証するものではなく、実際の結果や展開はこれら予想とは大きく異なる場合がある点にご注意ください。
提供された情報は、投資助言に該当するものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。本情報は、有価証券の購
入の勧誘または売却の申出とみなされるべきものではありません。本情報は、投資家の特定の投資目的、戦略、税務上の地位また
は投資期間を考慮したものではありません。ご自身の税務・財務アドバイザーにご相談ください。
ここで言及されている商標およびサービスマークは、それぞれの所有者の所有物です。第三者のデータ提供者は、データの正確性、完
全性または適時性に関していかなる保証または表明も行わず、また、かかるデータの使用に関連するいかなる種類の損害に対しても
責任を負いません。
当社の書面による明示的な同意なしに、本著作物の全部または一部を複製、複写もしくは送信し、または第三者に開示することは
できません。
コモディティやコモディティ指数に 連動した証券は、全体的な市場動 向の変化や金利の変化、さらには天 候、疾病、通商停止や政
治的ないし 規制的な展開、対象コモディティに 係る投機者や裁定者の取引活動な ど、他の要因の影響を受けます。
コモディティへの投資は大きなリスクを伴うため、すべての投資家に適した投資対象ではありません。
過去の実績は、将来の投資成果を保証するものではありません。
本資料は、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが作成したものをステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が
和訳したものです。内容については原文が優先されることをご了承下さい。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 345 号
加入協会:一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 投資信託協会、日本証券業協会
© 2025 State Street Corporation.
7620090.7.1.APAC.RTL Exp date:9/30/2026

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録