息子を頼む…叔父から「遺産3,500万円」を託された〈50代男性〉、遺産相続が進まない理由と裏に潜む人物の正体【相続の専門家が解説】

息子を頼む…叔父から「遺産3,500万円」を託された〈50代男性〉、遺産相続が進まない理由と裏に潜む人物の正体【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「相続手続きを進めたいのに、なかなか思うように進まない」——そんなご相談が寄せられました。相談者は50代の俊哉さん。急逝した叔父の相続人は、意思疎通ができない障害を持つ一人息子だけでした。相続財産は自宅と預金で相続税はかからない見込みでしたが、成年後見制度を利用することになったことで思わぬ問題が発生します。制度の安心と不便、その功罪をどう理解し備えておくべきか。今回のケースをもとに、相続実務士・曽根惠子氏(株式会社夢相続 代表取締役)が解説します。

相続人は一人息子、でも手続きが進まない

50代の俊哉さんからのご相談です。俊哉さんの叔父が急逝し、相続人は障害を持つ一人息子のみ。叔父の財産は、自宅(評価1,500万円)と預金(約2,000万円)で、相続税はかからない見込みでした。

 

叔父は生前から「自宅は売却して、息子の入院費用に充ててほしい」と望んでいました。しかし一人息子は意思疎通ができず、自分で相続や財産管理を行えません。そこで必要になったのが成年後見制度です。

成年後見人は一生続く役割

当初、病院の推薦でケアマネージャーが成年後見人に選ばれましたが、人柄的に不適格だったため、最終的にいとこの俊哉さんが後見人に就任。ただし親族後見人だけでは不安があるとして、家庭裁判所は「弁護士を成年後見監督人に」つける決定をしました。

 

こうして相続手続き、空き家となった自宅の処分、預金の管理、入院費用の支払いなどが始まりました。

弁護士監督人が認めない出費

ところが、ここから問題が発生します。監督人である弁護士が細かく経費に待ったをかけるのです。

 

・空き家の管理費用:月1万円は不要
・家財道具の処分:複数業者で合い見積もりを取り、安いほうに
・不動産会社の選定:複数を比較して承認

 

結果、自宅の売却は1年半経っても許可が出ず、資金化できない状態が続いています。

弁護士監督人の功罪

成年後見監督人が弁護士であることには、もちろんメリットもあります。

 

・法的に不備のない手続きを担保できる
・後見人による使途不明金や不正を防ぐ
・適切な契約かどうかを第三者的にチェック

 

しかしその一方で、デメリットも浮かび上がります。

 

・手続きが過度に慎重になり、時間がかかる
・日常的な経費まで厳しく制限され、柔軟性を欠く
・結果的に本人(障害を持つ相続人)の利益が後回しになることも

 

成年後見制度は「本人の利益を守る」ための仕組みですが、運用次第では本人や家族にとって不便さが強調されるケースも少なくありません。

 

このケースは、成年後見制度を利用すると「弁護士の監督」という安心感がある一方で、必要な手続きが停滞するリスクもあることを示しています。

 

相続や空き家の処分をスムーズに進めたいと考える方にとっては、

・誰を後見人に選ぶのか
・監督人がついた場合にどう折り合うのかを事前にイメージしておくことが重要です。

 

成年後見制度は万能ではありません。「本人の利益を守る」という建前の裏で、家族が望むスピード感や柔軟さが失われる可能性もある——まさに弁護士監督人の功罪が表れた事例といえるでしょう。

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