もう誰も信じられない…「1,500万円と三つの賃貸物件」を巡り疑心暗鬼に陥る〈50代姉妹〉。断絶の危機を救った亡き母の遺言書の中身【相続の専門家が解説】

もう誰も信じられない…「1,500万円と三つの賃貸物件」を巡り疑心暗鬼に陥る〈50代姉妹〉。断絶の危機を救った亡き母の遺言書の中身【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

相続は、単に財産を分ける作業ではありません。家族間の関係や思いまで左右するデリケートなテーマです。今回の事例では、母親が生前に作成した公正証書遺言が、家族の争いを防ぎ、円満な相続を実現しました。相続実務士・曽根惠子氏(株式会社夢相続 代表取締役)が、遺言書の役割や、実務上のポイントについて詳しく解説します。

母が残した三つの賃貸物件

今回の相続は、母親(90代)が亡くなったことによって始まりました。相続人は長女(69歳)・長男(65歳)・次女(62歳)の3人兄妹。父親はすでに他界しています。

 

相談者は長女の明美さん(仮名)です。

 

母親は生前、公正証書遺言を作成していました。私どものほうでは公正証書遺言の証人業務を受けていますので、証人になった私は15年前、母親が遺言書を作成された当時にお会いしています。

 

その内容は明確で、所有する三つの賃貸物件を「長女・長男・次女がそれぞれ一つずつ相続する」という分け方を記載、金融資産(預貯金1,500万円、株式・投資信託500万円程度)は葬儀費用など費用を払ったあと、3等分するようにという内容でした。

 

誰がどの不動産を取得するのかがはっきり決められていますし、金融資産の分け方にも偏りがなく、配慮されています。

 

さらに、長女が遺言執行者に指定されており、実際の相続手続きもスムーズに進められる体制が整えられていました。

 

父親の相続で大きなトラブルがあった過去

母親がなぜここまで準備をしていたのか。それには、15年前の父親の相続の経験が大きく関わっています。

 

当時、不動産の相続方法をめぐって、母と長男の意見が合わずに争いになりました。その結果、家族は長男と、母・長女・次女の二つのグループに分かれてしまい、関係はぎくしゃくしたままになりました。

 

「自分の相続では、子どもたちが争わないようにしておきたい」

 

その思いから、公正証書遺言は父親の相続手続きが終わってすぐに作成されたのです。途中で、不動産の売却、購入があり、内容を見直す意味でも、もう一度、作り直して準備をしてこられたのでした。

付言事項に思いを書いていた

母親は、長男との関係がうまくいかなくなったことを悔やんでおり、その思いを付言事項に記しています。


付言事項(ふげんじこう)とは、遺言書の本文とは別に、遺言者の思いや希望、家族へのメッセージを自由に書き記す部分のことです。法的拘束力はありませんが、相続人や関係者に意思を伝える重要な役割があります。

 

付言事項には、「遺産分割に関する希望や理由」、「家族や親族への感謝の言葉」、「相続人への助言やお願い」などを書き込むことができ、その他、自由なメッセージや個人的な想いも記せます。

 

付言事項があることで、遺言者の思いが伝わりやすくなり、家族の理解を促せるため、相続争い(争続)の防止にもつながります。また、背景や理由を明確に示すことで、相続人同士の誤解や不満を減らすことができます。

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