相続や事業承継をめぐる紛争は、資産や利害関係が複雑な富裕層ファミリーほど深刻化しやすい傾向があります。遺産分割や遺言の有効性、遺留分をめぐる紛争、さらには税務調査に伴う当局との争いは、資産承継や経営の安定を大きく揺るがしかねません。こうしたリスクを未然に防ぐことは、円滑な資産承継やファミリーガバナンスの確立に直結します。本稿では、富裕層ファミリーが直面しやすい紛争リスクと、その具体的な予防策について解説します。
信託無効確認請求に備える
民事信託は柔軟な財産管理や承継・事業承継を可能にします。ただし、契約内容によっては受託者の利益を優先し、受益者の利益を損なう信託が作られる場合があります。
現状、裁判で信託の無効を正面から否定した判例はありませんが、信託の本質を逸脱した内容は問題となる可能性があります。信託を組成する際は、本質を維持した内容にすることが重要です。
税務紛争に備える
税務紛争とは、相続人間の争いではなく、税務当局との紛争を指します。富裕層は資産が複雑かつ多様で担税力も高いため、税務調査が入る可能性が高いです。
事業承継や創業者の相続が発生した際、申告内容に誤りがあると、当局は是正処分を行い、加算税・延滞税などのペナルティが発生するほか、長期の法的紛争に発展する可能性があります。さらに、ファミリービジネスでの申告漏れが報道されると、レピュテーションリスクも生じます。
対策としては、税務調査で指摘されやすいポイントを事前に把握し、当局が納得できる資料や理論構成を整備することが重要です。問題が発覚した場合に軽減策を用意しておくことも、紛争予防に有効です。
酒井 ひとみ
シティユーワ法律事務所
2028年から株式・投資信託並みの「20%分離課税」へ。
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シティユーワ法律事務所
パートナー弁護士/弁護士(第二東京弁護士会)/ニューヨーク州弁護士
専門は国内相続・国際相続・エステートプランニング・事業承継等のプライベートウェルス全般及び労働・労務管理。Chambers HNW (Private Wealth)及びLegal 500 (Private Client)では、継続的に高い評価を受賞。
信託法学会のほか、STEP(Society of Trust and Estate Practitioners(信託及び相続に関する国際実務家団体))、TIAETL(The International Academy of Estate and Trust Law(相続及び信託に関する国際法律家協会))及びACTEC(The American College of Trust and Estate Counsel(全米信託相続弁護士協会))に所属し、国際相続に関する専門家向け・金融機関向けセミナー講師及び上記国際団体でのスピーカー経験多数。著作として、日本語では、『国際相続の法務と税務<第2版>』(税務研究会出版局)、『財産を減らさない分散管理のポイント100』(財経詳報社)、『国別でわかる!海外信託による相続の税務と法務』(第一法規)等。
著者プロフィール詳細
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連載税務当局が監視する、超富裕層の国際相続をふかぼりする