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医療・交通インフラの“条件”が成功のカギに
一方で、誰にとっても地方移住が“うまくいく”とは限りません。地方では高齢者の移動手段が限られることが多く、買い物や通院が負担になるケースも少なくないのです。
また、医療体制についても、都市部ほどの選択肢や専門性がない場合もあります。移住先を検討する際は、以下のような点を確認しておくことが勧められます。
バスやシニアタクシーなどの交通支援制度の有無
総合病院やクリニックまでの距離・アクセス
災害時や緊急時の地域支援体制
地域住民との交流機会や自治会活動の頻度
坂本さんの場合は、「後輩が先に暮らしていた」という“つながり”が安心感につながったといいます。
「まったくの“よそ者”だったら、ここまで馴染めなかったかもしれませんね。最初は特に、何かと顔を出して、できるだけ地域の行事に参加するようにしていました」
近年では、自治体による「移住支援金」や「お試し移住住宅」なども整備されており、高齢期の移住を後押しする施策も増えています。一方で、“自然があれば幸せになれる”という幻想だけで移住を決めてしまうと、孤独やトラブルを招く可能性もあるのが現実です。
移住の成否を分けるのは、「想像できるかどうか」かもしれません。普段の買い物、病気になったときの対応、地域とのつながり——そうした“生活のリアル”を下見の段階で丁寧に確認することが、後悔のない移住につながるのです。
「東京に戻りたいと思ったこと? ……今のところ一度もないですね」と笑う坂本さん。
70代の新しい暮らしが、今日もゆっくりと流れています。
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