「何もかも妻任せにしていた僕にも責任があります」
節約生活を続けながら、家族のために働いてきたという自負があった山田さん。
「外食もほとんどしてないし、趣味もない。会社と家の往復だけで、“もう少し自分を大事にしてもよかったのかな”って、初めて思いました」
退職金も約1,000万円ほどの見込みで、そこからローンや生活費を捻出すれば、老後に残るのはわずか。公的年金の試算でも、受給額は夫婦合計で月22万〜23万円程度とされ、現状の支出からは足りないことがわかってきました。
「子どもが成人したら、少しは楽になると思っていた。でも、家計を“見える化”していなかったツケが、ここにきて一気に来た感じです」
山田さんのように、家計を片方が全て握る家庭では、 “自分は守られている”“ちゃんとやってくれているはず”と信じ切ってしまい、実情を把握しないまま定年を迎えることもあります。
ファイナンシャルプランナーの間でも、「夫婦で家計を共有する」「50代で定年後の支出と収入の見通しを確認する」ことが強く勧められています。
山田さんは、現在、家計簿アプリを使いながら妻と支出の見直しを始めたといいます。
「何もかも妻任せにしていた僕にも責任があります。今からでも、自分のことも“家族の一員としての責任”も両方考えていきたいと思っています」
「家族のために」と耐えてきたことが、結果的に「自分にも家族にも何も残らなかった」ということにならないように──。定年が近づいたときこそ、“お金の見える化”と“家族との共有”が必要なのかもしれません。
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