(※写真はイメージです/PIXTA)

給与を「現金手渡し」でもらうことは、ひと昔前と比べて減ってはいるものの、依然一部の業界・業種では珍しくありません。ただ、ネット上の記録や金融機関を通さない現金の取引だからといって、確定申告など必要な手続きを怠ると、税務当局から「ペナルティ(加算税)」を課されることもあるため注意が必要です。そこで今回、税理士法人松本の代表税理士である松本崇宏氏が、給与の「現金手渡し」受給が抱える税務リスクを解説します。

税務調査で課されるペナルティ…追徴税額の目安

現金で給与を受け取り、確定申告しないままでいたり、支給額をごまかしたりすると、税務当局から指摘され、追徴本税とは別に加算税が課されるリスクが高いです。

 

加算税とはいわゆる罰金の性格を持つ附帯税ですが、具体的なペナルティには以下のものがあり、行為の内容によって加算される税率が大きく異なります。

 

  • 過少申告加算税
  • 無申告加算税
  • 重加算税

 

税務調査で指摘された際に課される加算税について、加算税率も含めてそれぞれ詳しく説明していきます。

 

過少申告加算税

過少申告加算税とは、確定申告を期限内に申告して納税したものの、申告納税額が本来納めるべき税額よりも過少であった場合に課される附帯税です。

 

原則的に税務署から指摘される以前に自主的に修正申告した場合にはペナルティはありませんが、指摘等により修正申告をする場合は加算税が課されます。

 

【税務調査の調査通知以後、更生・決定予知前にされた修正申告の場合の基本的な加算税率】

  • 当初の「期限内確定申告税額」と50万円のいずれか多い方の金額を超える部分までは5%
  • 当初の「期限内確定申告税額」と50万円のいずれか多い方の金額を超えた部分には10%

 

【税務調査の調査通知以後、指摘等により修正申告した場合又は更生を受けた場合の基本的な加算税率】

  • 当初の「期限内確定申告税額」と50万円のいずれか多い方の金額を超える部分までは10%
  • 当初の「期限内確定申告税額」と50万円のいずれか多い方の金額を超える部分を超えた部分には15%

 

更生とは、税務当局から申告内容に誤りがあると指摘されたにも関わらず、納税者が修正申告に応じなかった場合に税務当局が職権により、一方的に申告内容を更正して課税処分ができることを言います。

 

無申告加算税

無申告加算税は、確定申告の期限までに申告を行わなかった場合に課される加算税です。

 

基本的に、毎年2月16日~3月15日が確定申告の期間となりますが、この期間に納税義務のある人が確定申告をしなかった場合に、無申告加算税が課されます。

 

【税務調査の調査通知前に自主的に期限後申告をした場合の基本的な加算税率】

  • 追徴本税額の全部:5%

 

【税務調査の調査通知以後、更生・決定予知前にされた期限後申告の場合の基本的な加算税率】

  • 追徴本税額が50万円以下の部分:10%
  • 追徴本税額が50万円超300万円以下の部分:15%
  • 追徴本税額が300万円超の部分:25%

 

【税務調査の調査通知以後、指摘等により期限後申告をした場合又は決定を受けた場合の基本的な加算税率】

  • 追徴本税額が50万円以下の部分:15%
  • 追徴本税額が50万円超300万円以下の部分:20%
  • 追徴本税額が300万円超の部分:30%

 

重加算税

売上金額を隠蔽したり、所得がないように仮装していたりした場合などで、税務当局に不正行為と認定された場合は、過少申告加算税や無申告加算税に代えてより税率の重い重加算税が課されます。その加算税率は最大で50%(令和6年度)になります。

税務当局は「現金取引」を注視している

現金手渡しでの取引には違法性はないものの、確定申告をせずに所得を隠す脱税行為が行われることがよくあるため、税務当局も現金取引に関しては注視しています。

 

脱税は違法行為であり、税務調査で指摘されると厳しく罰せられるため、給与を現金手渡しで受け取っている場合は、確定申告が必要か否かを確認して正しく申告・納税をしなければなりません。

 

脱税を疑われる心配がある方や日々の会計処理が正しくできているか自信がない人は、専門家である税理士に相談して事前に必要な対策をとり、リスクを軽減させるのがおすすめです。

 

ぜひこの記事を参考に、申告義務がある場合は適切に申告するようにしましょう。

 

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本記事は税理士法人松本のコラム『給与の現金手渡しでも脱税はばれない?現金取引のリスクや注意点を解説』を一部抜粋したものです。全文はこちらから>>

 

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

 

登録者16万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。

代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

 

 

税理士法人松本

 

税務調査対応専門チームがある税理士法人として現在全国6ヵ所(渋谷、錦糸町、新宿、横浜、柏、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”の税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。国税局等に勤めていた、いわゆる「国税OB」が現在14名常駐。税務調査相談・対応実績は累計5,000件以上で専門性・経験則・折衝力を有する。どの業種より税務調査が厳しいといわれる風俗業界の税務に10年以上特化しながら、あらゆる業種の税務調査に対応し、追徴税額ゼロ円の実績多数。

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※本記事は、税理士法人松本の「税務調査ブログ」より転載したものです。

〈出典・参照〉
参照:国税庁|No.2026 確定申告を間違えたとき(www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm#:~:text=%E7%A8%8E%E5%8B%99%E7%BD%B2%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%AE%E4%BA%8B%E5%89%8D%E9%80%9A%E7%9F%A5%E3%81%AE%E5%BE%8C%E3%81%AB,%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%AF15%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AE%E5%89%B2%E5%90%88%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82)

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