(※写真はイメージです/PIXTA)

給与を「現金手渡し」でもらうことは、ひと昔前と比べて減ってはいるものの、依然一部の業界・業種では珍しくありません。ただ、ネット上の記録や金融機関を通さない現金の取引だからといって、確定申告など必要な手続きを怠ると、税務当局から「ペナルティ(加算税)」を課されることもあるため注意が必要です。そこで今回、税理士法人松本の代表税理士である松本崇宏氏が、給与の「現金手渡し」受給が抱える税務リスクを解説します。

税金対策として給与の手渡し受給は有効?

「給与の現金手渡しが税金対策になる」と考えている人もいるでしょう。しかし、実際は給与の手渡しはリスクがあり、税金対策には不向きです。

 

給与の手渡しは一見、税務当局からばれないように感じますが、支給企業側の帳簿や受給者の生活実態から指摘されるリスクがあります。また、現金手渡しは口座情報に履歴が残らないため、支給者と受給者間で万が一トラブルが発生した際の証明が難しくなります。

 

近年は、電子帳簿保存法やインボイス制度の導入など、決済取引のデジタル化・透明化が進んでいます。一方で、現金の手渡しは制度に逆行する行為にあたり、不自然な取引として、税務調査の対象となるリスクを高めることになります。

 

節税を考えるのであれば、適切な経費計上やiDeCo・NISAなどの制度を活用するほうが効果的で安全です。税金対策として給与を現金手渡し受給にすることは、結果的にリスクと手間ばかりが増えるため、得策とはいえないでしょう。

なぜ現金手渡し受給で脱税がばれるのか

「現金で収入を得ているから確定申告をしなくてもばれない」と考えている人は要注意です。

 

なぜなら、現金手渡しであっても取引があったことはさまざまな方法で把握できてしまうからです。

 

ここでは、脱税がばれるケースについて説明していきます。

 

脱税がばれるケース1. 税務調査

税務調査は申告漏れや無申告が発覚する端緒になるといっても過言ではありません。

 

税務調査とは、税務当局が申告内容に問題がないか、申告義務がないかをチェックするために行うもので、たとえ現金取引であっても、異常な現金入出金や申告漏れが疑われる場合、税務調査の対象となるケースがあります。

 

税務当局はさまざまな情報を収集して管理し、チェックしているため、確定申告していなければすぐに発覚してしまうでしょう。

 

脱税がばれるケース2. 支払調書や源泉徴収票

支給する会社は、誰にいくら給与を支給したのかなどを支払調書として税務署に提出しています。

 

支払調書には給与を受け取った人の名前や住所などが記載されており、確定申告をしていなければすぐにばれてしまいます。

 

また、パートやアルバイトの給与を現金で受け取っている場合、事業主は源泉徴収票を発行しているため、税務署に現金の受け取りがばれる可能性が高く、納税義務が発生する可能性がある場合は、確定申告するようにしましょう。

 

脱税がばれるケース3. マイナンバー

給与の支払状況に関しては、基本的にマイナンバーで紐付けされています。

 

マイナンバーは確定申告書はもちろん、支払調書、源泉徴収票にも記載されているため、例え現金で受け取ったとしても、給与を受けていることはばれてしまうのです。

 

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※本記事は、税理士法人松本の「税務調査ブログ」より転載したものです。

〈出典・参照〉
参照:国税庁|No.2026 確定申告を間違えたとき(www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm#:~:text=%E7%A8%8E%E5%8B%99%E7%BD%B2%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%AE%E4%BA%8B%E5%89%8D%E9%80%9A%E7%9F%A5%E3%81%AE%E5%BE%8C%E3%81%AB,%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%AF15%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AE%E5%89%B2%E5%90%88%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82)

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