制度変更前に定められていた口座の種類
Question 中国現地法人設立前の準備口座開設
中国で現地法人を設立する前に、設立準備費用の支払いのための準備口座を開設することはできますか。
Answer
・外国出資者が中国に現地法人を設立する際に、設立準備費用の支払いを行うための準備口座が開設できます。
・この口座内に振込まれた資金は、現地法人設立後に資本金の払込みとして認められますし、会社が設立できなかった場合は残額を国外に送金することができます。
外国出資者が中国に現地法人(外資企業)を設立する際に、設立許可取得前(資本金口座開設前)の費用を支払うための準備口座の開設が認められています。
この口座は、元は、「外商直接投資の外貨管理業務を完全なものにする事に関する通知(匯発[2003]30 号)」により認められたものですが、「直接投資に係る外貨管理政策のさらなる改善及び調整に関する通知(匯発[2012]59 号)」により、制度変更と規制緩和が実施されました。
1.制度変更前
(1)口座の種類
外国出資者の準備口座として、投資類口座(工事、ベンチャー投資用)、買付類口座(不動産、機器設備などの資産購入用)、費用類口座(開業前の一般経費用)、保証類口座(保証行為実施用)という、4種類の口座が認められていました。
(2)口座の開設
4種類の口座のなかで、一般的に使用されていたのは費用類口座ですが、当該口座は工商行政管理局での企業名称登記が終了した後(名称使用許可証:公司名称预先核准通知)、設立予定地の外貨管理局資本項目科の許可取得を前提に、開設が認められました。
(3)残高と有効期間
「一部の資本項目外貨業務の審査批准権の口座は、元は、「外商直接投資の外貨管理業務を完全なものにする事に関する通知(匯発[2003]30号)」により認められたものですが、「直接投資に係る外貨管理政策のさらなる改善及び調整に関する通知(匯発[2012]59号)」により、制度変更と規制緩和が実施されました。限を委譲することについての通知(匯発[2005]63号)」では、費用類口座の残高は10万米ドル、または投資主管部門の批准した総投資額の5%と規定されており、口座内外貨を換金、使用する際には、外貨管理局の許可が必要でした。また、口座の有効期間は6か月と規定されていました。
1種類に統合された制度変更後の口座
2.制度変更後
(1)制度変更の内容
口座の種類が外資企業設立前準備口座(前期费用外汇账户)の1種類に統合され、口座の開設、人民元換金に関する外貨管理局の許可が不要となりました。
口座の開設は、外貨管理局で登記を行えば、銀行手続のみで認められます。また、口座内外貨の人民元換金、使用については、銀行が資本金口座管理にもとづいて処理を行うことになります。なお、外資企業設立準備前口座の未使用残高は、外資企業が設立された場合は、資本金口座に振替えますが(使用前の金額で験資報告書が作成され、使用額は開業前費用として処理することができます)、会社設立許可が取得できなかった場合は、国外に返金することになります。
この際の外貨への再換金と対外送金についても、外貨管理局の許可が免除されました。
(2)制度変更の影響
口座の開設、換金に際しての外貨管理局の許可が不要となったことで、当該口座の活用が現実的な選択肢となりました。
制度変更前は、口座の開設や資金の使用に際して外貨管理局の許可が必要でしたが、2008年頃(投機資金の流入規制が本格化した頃)から許可取得が困難になり、口座の開設を許可しない地域も少なくありませんでした。また、口座内資金の使用のたびに、外貨管理局の許可を取得するという煩雑な手続が強制されていましたので、準備口座の開設事例はあまり多くはありませんでした。
これらの状況が改善されています。
[関連法規]
日本語:外商直接投資の外貨管理業務を完全なものにする事に関する通知(匯発[2003]30号)
中国語:关于完善外商直接投资外汇管理工作有关问题的通知(汇发[2003]30号)
日本語:一部の資本項目外貨業務の審査批准権限を委譲することについての通知(匯発[2005]63号)
中国語:关于下放部分资本项目外汇业务审批权限有关问题的通知(汇发[2005]63号)
日本語:直接投資に係る外貨管理政策のさらなる改善及び調整に関する通知(匯発[2012]59号)
中国語:关于进一步改进和调整直接投资外汇管理政策的通知(汇发[2012]59号)