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富裕層にフックをかけようとする湾岸タワマン族
メディアでタワマンが頻々に取り上げられるようになって久しいです。都心部ににょきにょき立ち上がっているタワマンですが、このうち東京の湾岸エリアにあるタワマンがメディアで取り上げられる傾向が強いようです。
湾岸エリアとはどのあたりかというと、正確な定義はありませんが、東京湾沿いに東から江東区の新木場、東雲、豊洲、有明付近、中央区の佃、月島、勝どき、晴海付近、港区の芝浦、港南付近、品川区の東品川あたりまでを指します。これらのエリアはもともと貿易、海運関係の施設が多く、工場や倉庫が林立していました。
今やタワマン街として有名な中央区佃は、かつては石川島播磨重工業(現在のIHI)のドックがあったところです。中央区築地の明石町で育った私は、小学校の頃、月島にいる友達の家に遊びに行くときにはドックには立ち入らないようにいつも母親から注意をされるくらい、暗くて人気のないエリアでした。
ところが佃では1980年代後半くらいからドックの跡地などを中心にタワマンの開発が進み、この流れが中央区内では月島、勝どき、晴海へと、江東区内では豊洲、東雲方面へと発展していきました。交通網も整備され、東京メトロ有楽町線、都営地下鉄大江戸線、ゆりかもめ、りんかい線、JR京葉線などが都心とつながることで、交通利便性の良さがタワマン人気に火をつけました。
続々と立ち上がるタワマンは、これまでなかなか都心部に住むことができなかった若い層に注目されました。当初は分譲価格もリーズナブルで勤務先に近く、保育所や幼稚園が次々に開園したことから夫婦共働きで子供がいるDEWKS(Double Employed With Kids)の関心を大いに呼び込みました。また、高層階から東京ベイを睥睨する景色はまさに東京ライフの象徴として、大手町の金融街に勤める大手企業サラリーマンや医師、弁護士、経営コンサルタントなどに人気となりました。
古くからの東京人からみると、あまり良い印象がなかったエリアでしたが、そうした記憶がない地方出身者からは湾岸タワマンは大いに評価されたのです。
この湾岸タワマン族とも呼ばれる人たちは、一般的に上昇志向が強く、タワマンを含む不動産価格の上昇に大いに満足して、自らの資産価値の上昇を周囲にも吹聴する傾向が強いようです。タワマン文学などといわれるように、上層階の住民が下層階の住民にマウントをとるなどという嘘のような本当の話が出るのも、この強烈な上昇志向の裏付けなのかもしれません。
ただ、最近になってこの人気にあやかって湾岸タワマンを買った人の多くは、かなりの金額の住宅ローンを組んで手に入れているため、必ずしも純金融資産で1億円を超える富裕層になっている人ばかりではありません。あくまでも含み益の実現を夢見て、将来、富裕層にのし上がっていこうという種族といえます。
