急増する在留外国人リッチ層
総務省が発表した「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数のポイント(令和6年1月1日現在)」によれば、日本の人口は1億2488万5千人。前年より53万1千人の減少となりました。日本の人口は2009年をピークに15年連続減少したことになります。
このデータを注意深く、日本人だけに限ってみると86万人も減少しています。補っているのが在留外国人です。在留外国人人口は332万3千人と前年より32万9千人、前年比で11.01%も増加しています。在留外国人数は1990年代後半から増加ピッチを高め、2021年、22年のコロナ禍による減少を経て23年以降は急激にその数を伸ばしています。いわば日本の人口減少を在留外国人の増加で緩和しているというのが実態なのです。
現在、日本国政府は異次元の子育て政策を掲げ、人口減少に何とか歯止めをかけようと躍起です。しかし、厚生労働省の発表では2024年の出生数は72万人と過去最少を記録、高齢化を背景とした死亡者数の増加で人口の自然減状態がさらに悪化していくことは明らかです。
いっぽう在留外国人は転入者が60万6千人、転出者28万8千人で31万8千人増加しています。これに彼らが日本国内で出生する子による自然増1万1千人を加えると32万9千人の増加です。日本人には見えない顔立ちでも日本語を流ちょうに操る人が目立って増えているのは、こうした在留外国人を親に持つ子どもが増加しているからです。顔立ちは日本人には見えなくても、名前は日本人っぽい、あるいは英語が喋れない子が目立つのはこうした時代背景があるのです。
日本のエリート層に食い込む高給外国人
すでに在留外国人数は国内の農業従事者数116万4千人(2023年)の2.85倍、全人口の2.66%を占めるまでにその存在感を増しています。世帯数においてはさらに在留外国人の存在が大きくなっています。
同じく総務省調査によれば日本の世帯数は6077万9千世帯。前年より51万2千世帯の増加となりました。この内訳をみるに、日本人世帯数が24万5千世帯の増加にとどまったのに対して、外国人世帯数の増加は26万7千世帯と日本人世帯の増加数を凌駕しています。
東京都は常に人口が増えていると言われます。こう言われると、相変わらず地方から若者が東京に集まってくる、コロナ禍では郊外や地方に人が分散すると予測されたがやっぱり東京がよいのだと報道されていますが実態はやや異なります。
都内在留外国人数は2024年1月1日で64万7416人。前年より6万6304人も増加しています。同期間の東京都全体の人口増は7万237人でしたから、東京の人口増もそのほとんどが外国人人口の増加に頼っているのです。
このように日増しに存在感を強める在留外国人は、不動産マーケットの中でも威力を発揮し始めています。外資マネーによる日本の不動産の積極的な取得が話題になって久しいです。昨今も外資系投資ファンドによるJREIT買収や大型のオフィスビル、レジデンスバルク、ホテルチェーン、ロジスティクス(倉庫)の買い占めなど、荒っぽい動きが目立ちます。
しかし注目すべきは2010年代以降に日本にやってきた専門的な知識や技術を持つ外国人高度人材や留学生が、日本に定住し、世帯を持つようになってきたことです。都内で分譲される、坪単価が700万円を超えるような超高額マンションでも買い手に多くの在留外国人の名があります。
彼らはIT系や国際金融系などの会社に勤める、自ら日本国内で起業をするなどした高収入の人材であり、年収も数千万円から1億円を超えています。彼らの多くは結婚をして日本国内で所帯を構え始めています。必然として住宅購入のニーズが高まっているといえます。
特に経済的に恵まれた中国人は、中国国内での不動産所有のリスクを避けて、日本国内で不動産を所有するニーズが高く、また彼らの子弟が日本で育ち学齢期に入ってきていることが住宅取得の背景にあります。
高度人材の外国人子弟は、親の教育熱も高く、成績で上位を占める子弟も珍しくありません。有名私立進学校に合格するケースが増えており、特に中国人は、母国のトップ校である北京大学よりも日本の東京大学のほうが、入試が易しいことから、東京大学に進学する、またはもっと入学が難しい欧米の超難関大学を狙う傾向があるというから驚きです。
こうしたリッチな在留外国人の台頭も日本社会の構造に大きな影響を与え始めていると言えるのです。
不動産事業プロデューサー
牧野 知弘
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