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医療・福祉・不動産処分…見落とされがちな制度的リスク
また、移住先での医療アクセスにも問題がありました。
「持病があるんですが、近くに専門の病院がなくて……。月1回は片道1時間以上かけて通っています。夫婦どちらかが運転できなくなったら、完全に詰みます」(雅子さん)
また、築年数の古い物件は固定資産税評価額が低いことが多く、相続時の税負担は軽くても「不動産としての売却価値」はほとんど見込めません。結果的に、「子ども世代に処分できない“負の遺産”を残すリスク」があるのです。
「息子に『この家、継ぐのは無理だからね』って言われたときは、現実を突きつけられた気がしました」(啓一さん)
移住から1年半。川田夫妻は、古民家を売りに出し、東京近郊の賃貸住宅に戻る決断をしました。
売却価格は900万円と購入時より下がり、リフォーム代や修繕費を含めると、実質500万円以上の損失でした。
「それでも、今は気持ちが楽なんです。近くに病院もあるし、気軽に外出できる。孤独じゃないというのが、これほど安心感につながるとは思いませんでした」(雅子さん)
自由を求めて地方移住を選ぶことは、決して間違いではありません。ただし、「生活のすべてを一変させる」ような選択であることを理解し、体力・地域環境・制度面のリスクを十分に見極める必要があります。
「田舎はのんびりしていていいよね」
その言葉の裏にある現実を、川田夫妻の体験は静かに物語っています。
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