「自分はどこでも活躍できる」…想定外の現実
「このやり方でずっと結果を出してきたのに。会社にどれだけ貢献してきたと思ってるんだよ」
そんな思いと部下の声を無視できない現実。それまで転職を考えたこともなく、骨をうずめるつもりで働いてきたのです。しかし、長年会社に尽くしてきたのに、今さら肩身の狭い思いを強いられる理由はない――。「触るな危険・扱いづらい人」扱いに耐えかねて、Aさんは勢いのまま退職を決断しました。
同期や上司の中には引き止めてくれる人もいました。一方で、若手社員たちは退職の噂を知っているはずなのに、よそよそしい態度。最終日、惜しまれるような花束もなく、形式的な挨拶だけでAさんは会社を去ることになりました。
それでも、自分の営業スキルには確かな自信がありました。転職しても十分通用する、若手にも負けない。そう信じていたのです。
ところが、新しい職場探しで早くも壁にぶつかります。これまでの経験を活かせると狙っていた同業他社は、応募しても面接にすら進めないことがほとんど。
ようやく面接にこぎつけても、結果は不採用の連続。転職エージェントからは「年齢もありますし、年収などの条件を下げない限り厳しいと思いますよ」と一言。プライドはズタズタに傷つき、Aさんはようやく現実を突きつけられました。
そのうち、再就職活動にも嫌気がさし、家に引きこもりがちに。ところが、妻からは「もう老後? 10年早いんじゃない?」「家事も何もできないのに、ただ家にいられてもねぇ……」と嫌味を言われる日々。居場所がなく、朝から図書館で時間をつぶすようになりました。
