「父は認知症、弟は無職」実家に残された“ダブル扶養”に限界…家族崩壊寸前の50代長女が語る「介護と自立のはざま」

「父は認知症、弟は無職」実家に残された“ダブル扶養”に限界…家族崩壊寸前の50代長女が語る「介護と自立のはざま」
(※写真はイメージです/PIXTA)

少子高齢化と経済的格差の進行により、複合的な家族ケアに苦しむ人が増えています。親の介護に加えて、就労していないきょうだいや配偶者の生活をも支える「ダブルケア」や「ダブル扶養」の負担は、想像以上に重くのしかかります。 “長女”や“ひとり娘”という立場の女性が、無意識のうちにすべてを背負い、心身ともに限界に達するケースも少なくありません。今回は、認知症の父と無職の弟を同時に支える50代女性・美穂さん(仮名)のケースを通じて、支援制度のはざまで孤立する家族の実態を見つめます。

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月に1回…美穂さんにとって最大の支え

そんな美穂さんにとって、最大の支えとなっているのが、月に1回だけ訪れる市の地域包括支援センターの職員との面談です。ここでは、介護負担の相談だけでなく、将来的な「施設入居」や「成年後見制度の活用」などの選択肢についても助言を受けています。

 

「介護って、“もっと頑張らなきゃ”って思えば思うほど自分を追い込んでしまう。でも、限界は誰にだってある。やっと最近、“誰かに頼っていいんだ”と少しずつ思えるようになりました」

 

親の介護や無職のきょうだいの生活支援を、ひとりで担う「複合的ケア」は、決して珍しい話ではありません。

 

社会制度としては、介護保険制度や障害者総合支援法、生活困窮者自立支援制度、成年後見制度など、多くの支援メニューが存在しています。しかし、その“使い方”や“組み合わせ方”は、当事者が孤立した状態では見えにくいのが現実です。

 

また、支える側のケア負担を軽減するためには、家族に対して「すべてを抱え込まなくていい」「外部資源を頼っていい」という啓発が不可欠です。

 

「家族だからこそ、距離をとることが必要な時もある」――そんな選択を許容できる社会こそが、いま求められているのではないでしょうか。

 

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