子育て世帯にとって「夏休みは鬼門」とよく言われます。普段は学校に行っている子どもが一日中家にいるようになることで、世話や家計など親の負担は一気に増大します。さらに、リモートワークが広がる今、その大変さを感じる父親も増えているようです。見ていきましょう。

快適なリモートワークが一転、「夏休みは修行」の実態

35歳のシステムエンジニア・田村和也さん(仮名)は、8月末が近づくと、安堵の溜息をつくといいます。

 

「今年も乗り越えられた……」

 

夫婦共働きで、小学生の息子が2人。 世帯年収は800万円あり、特別少なくはありません。ですが、住宅ローンに教育費、物価高もあり、余裕はないといいます。

 

ただ田村さんにとって本当にきついのは、お金よりも夏休みそのもの。普段は週3日リモート勤務で快適な在宅ワーク環境が一変し、「最も消耗する1ヵ月」になるのだといいます。

家にいる=子守担当の必然…食費も激増

平日の日中、妻はパートに出ています。普段なら子どもたちは学校に行っているので、田村さんは静かに仕事ができます。しかし夏休みになると、小学5年生と4年生の息子2人が一日中家にいることに。

 

「男の子2人だからか、制御が効かなくて(笑)。しょっちゅう兄弟げんかで大騒ぎ。オンラインMTG中に『アイス食べていい!?』って大声で乱入してきたり、画面に顔を出そうとしたり……。社内相手ならまだしも、クライアント相手の打ち合わせでやられたときは焦りました」

 

あり余る元気に「外で遊んでくれ」と言いたいところですが、最近の夏は命に関わる暑さ。熱中症や事故が起きたら、自分が見ていなかったせい。そう考えると、そうもいきません。

 

「友達の家に行くこともありますが、うちに連れてくることもあって、楽しいというか騒がしいというか……(笑)。正直、仕事に集中するのが難しいときもあります」

 

昼食の用意も悩みの種。自分一人ならパンやカップ麺で済ませるところですが、子どもにそれはできないと言います。

 

「妻には『あなたがちゃちゃっと作ればいい』と言われますが、そうもいかず。冷凍食品に頼ったり、お弁当やファストフードで買ってきたり、デリバリーを使うことも。食費がとんでもなく跳ね上がってしまうんですよね……。うちの場合、1.5倍ぐらいになりそう。普段7万円台ですが、下手したら10万円近く。給食というシステムのすばらしさを実感しますよ」

 

株式会社iTANが実施した「夏休みのママがつらいことランキング」に関する調査(2025年)によれば、「夏休みの子どもの食事の用意は大変だと思うか?」という問いに、73%が「とてもそう思う」と答えています。

 

また、同調査で「夏休みは食費が増えますか?」という問いに、49.4%が「とても増える」40.7%が「やや増える」と答えており、こう答えた人たちに「1ヵ月あたりどれくらい食費が増えるか」を聞いた回答では、最も多かったのが1万円~15,000円未満で28.8%、5,000~1万円未満が22.5%。一方で、15,000円以上増えると答えた割合を合計すると43.6%となっています。

 

さらに、学校の特別教室、習い事、夏期講習――こうした子どものタスクも、夏休み期間は妻ではなく田村さんがメインで管理するそう。仕事のタスク管理より複雑に感じることすらあるといいます。

 

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