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マイナーチェンジか全取り替えか
日本の所得税法における所得控除には、障害者控除や寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除があります。これらを総称して「人的控除」といいますが、控除の要件や控除金額が多岐にわたり、非常に煩雑です。人的控除の整理・統合は政府税制調査会でも指摘されている事項ですが、実現には相当の時間を要するでしょう。
こうしたマイナーチェンジを部分的に行っただけでは、税制全体の簡素化は達成できません。税務の専門家のなかには、何とか税制の簡素化を図れないかと考えている人もいます。
なぜ税制が複雑化したかという観点から考えると、政策上の多様な要望への対応、税の公平性確保、税の抜け道を塞ぐ目的などが背景にあります。
法人税についても、大法人と中小法人を同じ税法で規定することには無理があるとの意見が以前から出ています。しかし、これを実現するには、日常業務を離れた専門チームを編成して作業する必要があり、税務当局にその体制を整えることが可能かは不明です。現状では、日本の税務関係者の間で税制の簡素化を公然と議論する者はほとんどいません。
1998年1月公表の米国会計検査院(GAO)報告書
米国では税制改革の議論が盛んで、1998年1月に米国会計検査院(GAO)が公表した報告書『Tax Administration – Potential Impact of Alternative Taxes on Taxpayers and Administration』では、消費税、支出税、フラット・タックス(Flat Tax:以下「FT」)が検討されました。
さらに、1998年6月には米国下院で、2002年末までに現行税法を廃止する法案が可決されました。このように、現行税制の手直しではなく、大胆な税制設計の議論が米国で活発な背景には、現行税制が複雑化し、一部の納税者だけが税制優遇を享受している現状を打破し、税制改革を通じて経済発展を促進しようとする意図があります。
フラット・タックスの動向
当時の米国大統領選挙において、候補者であったフォーブス氏は、現行の累進税率ではなく単一税率を使用するFTを提唱し注目を集めました。大統領選終了後はFTに関する報道は途絶え、選挙キャンペーン用であったとの見方もあります。
しかし、このFTはスタンフォード大学のロバート・ホール氏とアルビン・ラブシュカ博士によって考案されたもので、個人の所得を課税標準とする現行所得税と異なり、支出を課税標準とする支出税の中間的な形態と位置づけられます(例:1955年カルドア支出税、1978年ミード報告)。
米国議会では1997年3月、FT法案(H.R.1040)が下院で提案され、合同経済委員会でも検討されました。
一律17%で変わる21世紀税制
下院に提案されたFT法案(アーミー・シェルビー・フラットタックスと呼ばれる)および合同経済委員会の議論では、FTは現行所得税に代わる21世紀型の税制として設計されていました。趣旨は、現行所得税の部分的手直しではなく、根本的な改正を目指すものです。
法案では、法人および個人に対して一律17%の税率で課税(導入後2年間は20%)するというものでした。これにより納税申告書は10行程度の葉書大で済みます。課税対象所得は、個人の場合、利子および譲渡所得を除いた所得から人的控除を控除して算定します。法人・事業所得者の場合は、売上から売上原価、人件費、設備取得費を控除します。そのため、資産購入時に一括して損金算入され、減価償却計算は不要です。結局、法案は成立することはありませんでした。
FTを推進するのは主にエコノミストで、租税専門家の間では反対意見が多くあります。たとえば、税率17%では歳入が大幅に減少する試算もあります。推進派は、人的控除を大きくすることで逆進性の問題は解消すると主張しますが、低所得者層には負担が増加するという批判もあります。
矢内一好
国際課税研究所首席研究員
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