(※写真はイメージです/PIXTA)

中東産油国は、世界のエネルギー供給を支える重要な存在です。とりわけ湾岸協力会議(GCC)加盟国を中心に、石油資源を基盤とした経済成長を遂げてきました。一方で、イランやイラクといった非加盟国は人口規模や税制面でGCC諸国と大きく異なり、独自の政策運営を進めています。8月に『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』を刊行した矢内一好氏が解説します。

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経済規模と産油力を数字で比較

中東産油国は、1981年に設立された湾岸協力会議(GCC)加盟国であるサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、オマーン、カタール、バーレーンの6ヵ国が中心です。GCCへの加盟を希望している国にはイラクとイエメンがあり、イランは独自路線を歩んでいます。

 

2024年のGDPランキングでは、サウジアラビア(19位)、UAE(29位)、カタール(56位)、クウェート(59位)、オマーン(72位)、バーレーン(97位)です。イラクは51位、イランは37位となっています。

 

石油の産出量における世界ランキングでは、サウジアラビアが3位、UAEが9位、クウェートが10位、カタールが15位、オマーンが21位、バーレーンが62位です。なお、イランは5位、イラクは6位となっています。

人口規模が左右する課税制度

GCCにはイラク、イランは加盟していません。

(1)イラク・イランの税制

イランは世界第5位、イラクは第6位の産油国であり、GCCのサウジアラビアに次ぐ規模を誇ります。

 

イラクの法人税率は通常15%ですが、石油・ガス会社は35%が適用されます。所得税は15%です。イランの法人税率は25%で、さらに地方税3%が加算されます。所得税の最高税率は30%です。

 

人口規模を比較すると、イラン(8,920万人)、イラク(4,550万人)に対し、サウジアラビア(3,217.5万人)、UAE(1,006万人)、オマーン(500万人)、クウェート(492万人)、カタール(300万人)、バーレーン(158.9万人)と大きな差があります。

 

GCC諸国には所得税制度がなく、他方でイランとイラクは自国民に課税しています。これは人口規模の違いによる財政上の必要性が背景にあると推測されます。

 

(2)GCCの税制

GCC諸国には所得税制が存在しません。法人税については、サウジアラビアが20%、クウェートが15%、カタールが10%、オマーンが15%です。UAEは2023年に法人税を導入し、税率は9%となっています。バーレーンは石油会社のみ課税対象です。

中東産油国の未来

UAEはアブダビが首都かつ産油地域である一方、ドバイは石油依存から脱却し、中東最大の経済都市として発展しました。現在、人口は300万人を超えています。

 

UAEは法人税率9%、所得税なしのタックスヘイブンであり、さらに世界112ヵ国と租税条約を締結しています。その中には多くのアフリカ諸国が含まれます。今後、中東やアフリカ市場に事業を展開する際、ドバイは拠点として重要な役割を果たすと考えられます。

 

矢内一好

国際課税研究所首席研究員

 

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