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「美白」を意識しすぎて日光を避けるのはよくない
ビタミンDを摂取するには食事だけでなく、日光に当たることも重要です。なぜなら、日光を浴びると体内でビタミンDが生成され、食事から摂取するビタミンDの不足分を補うことができるからです。
紫外線は波長の長さによってUVA(紫外線A波)、UVB(紫外線B波)、UVC(紫外線C波)の3つに分類されます。このうちUVCはオゾン層に吸収されるため、地表に届くことはありません。人間が影響を受けるのはUVAとUVBの2つになります。
このうち、ビタミンDの生成に関わるのはUVBです。UVBが皮膚に浸透すると、皮膚に存在する7-デヒドロコレステロール(7-DHC)という物質からビタミンDが合成されます。そのため、ビタミンDのことを考えればどんどん紫外線に当たるべきです。
患者にこう話すと、「でも、紫外線は皮膚に悪影響がありますよね。皮膚がんの原因になりますよね。いったいどうしたらよいのですか」と多くの人が当惑します。確かにUVBは皮膚や目の表面に作用して炎症を起こしたり、シミの原因になったりすることがありますし、場合によっては皮膚がんを引き起こすこともあります。
そのため、外出するときには徹底して紫外線対策を行う人が多く見受けられますし、近頃では日傘男子という言葉も流行語の仲間入りをするほど、女性だけでなく男性も紫外線対策を入念に行うようになりました。
確かにUVBは健康に悪影響をもたらすため、注意が必要な物質です。しかし、体内でビタミンDを生成するには欠かすことができません。こうしたジレンマがあるなかで、どのように行動すればよいのかというと、研究により一つの回答が得られています。
国立環境研究所と東京家政大学の研究チームが、あるユニークな研究を行っています。成人が健康な生活を送るのに必要不可欠な一日のビタミンD摂取量の指標は5.5㎍とされていますが、このすべてを体内で生成するとした場合に必要な日光浴の時間を算出したところ、季節や場所によって異なることが分かったのです。
札幌、つくば、那覇という3都市で数値計算し、顔を晴天日の太陽光に露出したと仮定した場合、紫外線の弱い冬の12月の正午では、那覇では8分、つくばでは22分の日光浴で必要量のビタミンDを生成することができると分かりました。一方、2都市よりも緯度の高い札幌では、つくばの3倍以上の76分日光浴をしなければ、必要量に達するまでビタミンDを生成できないことが明らかになりました。
つまり、必要な日光の照射量は季節や場所によって変わるということです。
現在、ビタミンDの摂取不足は世界的な問題になっており、特に高緯度に位置する北欧諸国ではビタミンDの不足を補うためサプリメントの摂取が推奨されています。
このように季節、地域、時刻、天候など諸条件によって必要な日光の照射時間は異なりますが、日本人の場合、ざっくりいえば夏季なら15~30分、冬季なら1時間程度日光に当たることが推奨されています。
顔や両手だけでなく、両腕や両足など日光にさらす面積を増やすことで、ビタミンDを生成するのに必要な照射時間を減らすことができるため、もし、日焼けによる健康被害が心配な場合には、できるだけ照射面積を増やすことを勧めます。また、窓ガラス越しでも効果が期待できるので、なかなか外に行けない場合には日当たりのいい場所に座る、ということでもよいと思います。
ただし注意したいのは日焼け止めです。日頃から日焼けを気にして日焼け止めを使用している人も多いと思いますが、その場合には、日焼け止めの成分にも注意が必要です。
大阪樟蔭女子大学などの研究チームが行った調査によると、20代女性が週に3回以上日焼け止めを塗った場合、血中のビタミンD濃度が欠乏することが分かっています。現在では、ビタミンDの生成を阻害しないとうたった日焼け止めも販売されていますから、骨の健康を考える場合はそのようなものを使うとよいと思います。
